Aiで実現するバーチャルバス停!ダイナミックルーティングとは

Aiは大量のデータを蓄積・学習することで最適な答えを導き出し、私たちの抱える社会問題を解決へと導いてくれています。これまでも農業の人手不足や、商業施設においてのサービス展開など、とAiが介入することでこれまでと違った一面が見られるようになりました。

中でも公共交通機関のバスにおいても、さまざまな課題を抱え早急な改善が急がれており、Aiによる問題解決の取り組みが始まっています。

そこで今回は、日本で初めての取り組みとしてバスにAiを導入した「バーチャルバス停」の概要や、どのようにAiを活用しているのか、など詳しくご紹介していきます。

バスの乗降における現状の課題とは

国土交通省によると、バスの乗降における現状の課題(平成28年)として

・モータリゼーションの進展と輸送人員の減少

・地域公共交通サービスの衰退

この2つが現状として上げられてます。

モニタリゼーションとは、「動力化」「自動化」を意味し、すなわち自動車が社会全体に普及し始め、通勤などにおいても自家用車を利用する方が増えたことで、バスの利用者が年々減少傾向にあります。輸送人員においても、平成元年からここ20年間約半数の54%も減少しており、公共交通事業者が不採算路線からの撤退などによって、地域公共交通サービスの低下が見られています。

さらに、こうした背景の中、地方圏では乗客が国土交通省の「公共交通に関するニーズ調査」(平成29年)に対して次のような回答を出しています。

・公共交通の整備(77.1%)
・停留所までの距離(75.3%)
・安全性(75.2%)
・本数(73.7%)
・路線(71.6%)

この結果からも分かるように、バスに対する満足度が少ない結果となり、地方圏での利用においては何かしらの不便さをほとんどの乗客が感じているようです。

続いて、次項からはこの課題に対しAiがどのように問題解決を図っていくのか、バーチャルバス停を詳しくご紹介しながら、早速見ていきます。

Aiで実現するバーチャルバス停!

バーチャルバス停とは、簡単に説明すると、通常は規定場所のバス停を私たちは利用しバスの乗降を行いますが、バーチャルバス停においてはそのようなものは存在せず「Aiが指定した場所」がバス停になる、というものです。では、詳しくご紹介していきます。

バーチャルバス停にはAiがつかわれている!

予約状況に合わせてAiが車両ルートやスケジュール(ダイヤ)を計算し、効率的な配車や運行を行います。バスの利用者が事前に専用のアプリ「My RIde」または、会員用サイトからの予約をすると、誰でもバーチャルバス停を利用することが可能です。それにより、バス停の標柱を置かないバーチャルバス停が実現し、より最適な車両とルーティングが設定されます。

https://response.jp/imgs/p/HyHJUDsvwEJjLfURx1fZfoRN5UBBQkNERUZH/1572140.jpg

みちのえきホールディングス・専用アプリ「My Ride」の画面イメージより引用

ダイナミックルーティングとは?

ダイナミックルーティングとは、ルータなどが経路情報を互いに交換しあい、自動的に生成・更新され続け経路表に基づいた選択を行うことを指します。

つまりここでは、乗客がアプリや会員用サイトからの予約によって維持更新された情報を、Aiが認識・生成・更新し、常に快適な場所や時間を提供し続けるサービスのことです。

 

Aiによるバーチャルバス停で解決できる課題

では、本題の課題解決ですが、Aiはどのような活躍を見せてくれるのでしょう。

利用者に合わせた路線をAiで実現

「公共交通に関するニーズ調査」でも述べたように、「もう少しバス停が近かったら・・・。」「もう少し時間が早かったら・・・。」といった、停留所までの距離や本数などのバスにまつわる課題をAiによるダイナミックルーティングが解決します。その仕組みは、Aiが乗客の予約リクエストに対応できるよう、10,000通りの組み合わせを、わずか数秒間で計算する複雑なアリゴリズムを基に、予約者の乗車・乗降場所や希望時間に対して最適な車両と経路を提供する、まさに、「あと少し・・・。」を叶えてくれるシステムです。

バスの運行をAiで見える化

目的地までの車両やルート・現在位置・到着までの全てが手元のスマホ上で分かるので、これまでに乗客が抱えていた不便さやストレスを解消することができます。また、富士通株式会社の調査によると、路線バスを利用するうえで不便だと思うことの中に、「バスの到着時間」「延滞状況が把握できない」といったものがあげられています。こうした課題にバスの見える化を図ることで、初めて訪れる観光客や本数が少ない地方においても、快適なバス生活を送れるようになります。

バスにAiを導入することで、不便だと思われていた停留所までの距離・本数・路線など、乗客のニーズに応えるかのようにAiが課題解決をクリアしています。実際にこのサービスを提供している会津バスを利用した方の感想には、「バスが何時に来るか(スマホ)目視できるのは非常に安心」、さらにはバス事業所側からは、「生産性の向上・効率化な運行に繋がる」とこのサービスに対する今後の期待も大きいようです。

では、最後にダイナミックルーティングが活用できる場をご紹介致します。

バスだけじゃない、ダイナミックルーティングが活躍できる場

前述したように、「ダイナミックルーティング」とは、ルータなどが経路情報を互いに交換しあい、自動的に生成・更新され続け経路表に基づいた選択を行うこと、と説明しましたが、まさにこのシステムの利用に適した場が

・タクシーの乗降

・宅配業者による配達

です。

タクシーの乗降や宅配業者による配達は全く違う業種ですが、「いつどこで拾えるかわからない」タクシーと、「不在のため荷物が渡せない」宅配は、バスと同じく相手が見えないからこそ達成しない目的でもあります。

すでにこのシステムを導入しているタクシー事業所はいくつかあり、スマホのマップ上で乗車場所や乗降場所を指定するだけで、簡単にその間の最適なルートや概算料金が検索でき、乗客のニーズに合ったサービスを展開しています。

配達業者においても、多様化するお客のニーズに合わせAiの自動ルーティングを活用し、見えなかった部分が見えるようになり、業務の効率化や多様化するお客のニーズにも対応することができています。

まとめ

「Aiで実現するバーチャルバス停はバスの乗降に関する課題を楽々解決!その方法とは」について言及して参りました。

普段なら、家から遠いバス停もAiによる「バーチャルバス停」を利用することで、快適な生活へと変わるようです。よく、格安物件の中にはバス停から歩いて15分、などといったものが多くありますが、このシステムが普及することで物件選びも変わってくるかもしれませんね。

その他、このシステムを利用することで、高齢者の免許返納後の交通手段提供、学校統廃合を支えるスクールバスの課題などの課題解決においても期待されています。こうした取り組みは、今後もさらにさまざまな場において活用が広がっていくものと思われます。

Aiチョイスでは、Aiに関するさまざまな情報をさまざまな視点からお届けしております。ぜひ、日常のヒントにお役立てください。