テレビの視聴率をAiが予測!今後のテレビ業界はAiでどう変化するのか

近年、YouTubeやネットフィリックスなどの動画視聴アプリがますます充実してきており、スマホなどで見たい時に見たい番組を見ることができるため、若者は『テレビ離れをしている』とも言われているようです。

見たいものを見たいときにいつでも見れる時代で、テレビを見る視聴者は『気まぐれ』で見ている場合も多いでしょう。視聴率とはあくまでも『結果』なわけですが、こうした気まぐれや結果をAiはどのように予測しているのでしょうか。そして予測された視聴率はテレビの制作にどのように生かされていくのでしょうか。

本記事では、Aiによる視聴率の予測と、そのメリット、そして今後Aiが視聴率の予測をできることによってテレビの視聴方法はどのように変化していくのかという点について解説していきます。

視聴率とは

Aiによる視聴率の予測について詳しく解説する前に、そもそも『視聴率の定義』とは何なのかという点について解説してから、本題に入っていくこととします。

視聴率の3つの種類

視聴率と一言で言っても、視聴率には下記の3つの種類が存在します。

①リアルタイムで番組を視聴した人の割合
②録画して7日以内に視聴した番組の視聴率
③リアルタイム、もしくはタイムシフトいずれかの方法で視聴した番組の視聴率

1つは、通常通り番組が放送されている時間に視聴した人の割合を示す『視聴率』、
2つ目は、録画して7日以内に番組を視聴した人の割合を示す『タイムシフト視聴率』、
3つ目は、1つ目、2つ目いずれかの方法で視聴した人の割合を示す『総合視聴率』です。

視聴率の計算方法は単純で、特定の世帯のテレビに視聴率測定器を設置し、その測定器がテレビが映している番組と時間のデータを記録することで集計できます。集計は午前5時から翌朝の5時までの24時間ごとに行われ、全国約27地区で測定が実施されているといいます。例えば関東地区で90世帯がある番組を見ていれば、視聴率は10%(=(90/900)×100)となるわけで、視聴率20%といえば、テレビ局ではかなりの高視聴率と評価されますが、該当する地域の世帯数によっては視聴率が低くなる場合もあります。

ですが、基本的に番組の視聴率測定に関しては、上記の計算方法で統一して行われており、特に計算方法に問題はないとされています。

視聴率は重要なのか

ただ、こうした視聴率は実際テレビ業界にとって重要なのかという点が気になる方もいらっしゃるでしょう。実は視聴率は、番組そのものというよりはテレビ広告、いわゆるCMを放映するのに重要なものになります。

というのも、これまでテレビCMを流すことは企業にとって株式上場を果たすのと同じくらい大きな目標でした。テレビCMのコストは、放映料もさることながら、制作費もかなり高く業績が好調な企業しかテレビCMをつくることができなかったのです。

そうしたことから、テレビCMを放映することで、視聴者からの信頼度が増すようになります。またCMの依頼が来る際も、番組を視聴するであろう年齢層がわかっていれば、その番組を放映する時間は該当する年齢層に合わせたテレビCMを放映することができるわけです。番組そのものというよりは一つの物差しとして視聴率は重要であるといえます。

Aiが視聴率を予測する仕組みとは

視聴率がテレビ業界にとって重要であるということが分かったところで、続いてはAiが視聴率を予測する仕組みについて詳しく解説していきたいと思います。

Aiによる視聴率予測システム

電通が開発したSHAREST(シェアレスト)は、Aiによってテレビ視聴率を予測するコンピュータシステムで、テレビ業界で番組視聴者の分析と予測が急務になっていることから開発されました。

仕組みとしては

・過去の視聴率データ
・番組のジャンル
・出演者
・ネット・コンテンツの閲覧傾向
・前後の番組の内容
・他局の番組(裏番組)

などを計測し、これらのビッグデータをもとに予測される視聴率を算出するものです。実際に、2019年1月時点で、シェアレストでは約5,000の要素をAiに分析させており、140種類のターゲットの視聴率予測を行っています。該当するターゲットの年齢層や、趣味嗜好、性別などをAiが把握しておくことで、テレビCMの放映基準等にも役立てることができるということになります。

・Aiで視聴率が予測できるメリット

このように、Aiで視聴率を予測することによって、下記のようなメリットがあげられます。

・テレビCMの質の向上
・需要から次の企画に活かすことができる
・年齢層を把握することで適切なターゲットを絞ることができる

人間にはAiのように、過去のビッグデータをすべて処理して次の企画に活かすといったことはたくさんの時間をかけなければできません。その点、Aiによって視聴率を予測することで、CMの質の向上はもちろんのこと、次の企画に活かすことができたり、適切なターゲット選定をすることができたりするでしょう。

仮に視聴率が悪くなるという予想が出たら、その理由を分析して改善すればよいのです。そうすることで、視聴者も見たい番組を見ている中で、視聴者の年齢層にあったCMが流れるようになったり、ほしい情報が得られるようになったりすることも可能になるはずです。

Aiでテレビの視聴方法も変わるかも

実はテレビ業界でAiが活用されるのは実は制作側だけではありません。今後はAi搭載のテレビが出るようになるなど、視聴者側もテレビの視聴の仕方が変わってくるようになるでしょう。

例えば、Aiがテレビの前に映っている人の人数がどれくらいでどのくらいの年齢層が集まっているのか、もしくは家族なのかを認識し、テレビの前の人に最適なCMを流すことで、視聴者はほしい情報を欲しいタイミングで得ることができるようになるでしょう。

実際、『ココロビジョン』では、視聴者が帰宅すると自動的にテレビの電源がつき、Aiが視聴者の好みを分析しておすすめの番組を勝手に放映してくれます。

このように、今後は自宅でテレビを見る際もAiを利用することで欲しい情報や見たい番組を選定してくれ、手軽に情報収集をすることが可能になります。

まとめ

本記事では、テレビ業界におけるAiシステムでの視聴率予測から、今後のテレビ業界のAiの活用の可能性について解説してまいりました。

冒頭でも申し上げたように、近年ではスマホのアプリから簡単に番組を見たい時に見ることができるようになったことで、若者がテレビを見る機会も減少傾向にあるといいます。しかしながら、今後Aiによる視聴率の予測や、ターゲットに合わせた番組選定などで、テレビでの情報収集等も便利になっていけば、今後は視聴者も右肩上がりで増えていくのではないでしょうか。

今後、テレビ業界ではAiを導入することで、視聴率の予測や、ターゲット選定、ターゲットに合わせた番組・CMの放映ができるようになり、視聴者はスマホでの情報収集と合わせて、テレビの視聴も増えてくるようになるはずです。そういった意味では今後テレビ業界へのAi導入は必須であるといえるでしょう。