交通業界でのAi活用は自動運転だけじゃない!?乗客の『便利』はチャットボットが確保!

交通、鉄道業界などにおけるAiの活用ときくと、現在何かといろいろなところで取り上げられている『自動運転技術』を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

確かに、自動運転技術が発展していくためにはAi技術が必須ではあるのですが、実は、交通業界におけるAiの活用は自動運転だけではありません。

毎日多くの乗客が利用する交通業界は、常に安全であることはもちろんのこと、多くの人にとって使いやすく、親しみやすい移動手段である必要があります。

そんな中、現在はJRなどにおいて、自動でお問い合わせに応答ができるAiチャットボットの活用が広がりを見せています。今回は、交通業界でのAiやチャットボットの活用事例について見ていきましょう。

Aiチャットボットとは?

そもそもチャットボットとは、チャット(会話)するロボットで、テキストや音声での会話を自動に行うプログラムのことを指します。

Aiチャットボットは基本的に24時間365日対応が可能ですので、受付や担当がいない時間にも常時利用客の問い合わせに対応することができます。また、友人対応の際は、一度に対応できる人数も限りがありますが、Aiチャットボットであれば一度に複数の利用客の対応をすることが可能です。

特に、交通業界では落とし物の対応や、乗り場の案内など、よくある質問を自動化することで人権コストの削減や業務効率化、また、利用客側も利便性が増し顧客満足度の向上にもつながるとされています。

JRでのAiチャットボット活用事例

この、チャットボットの活用は鉄道会社での活用が主に広がってきています。

というのも、近場の移動には徒歩以外に自転車やバスなどが多用されますが、近年では遠出をする、特に同じ場所を何度も行き来する場合、公共交通機関の代表格として鉄道が使われることが多く、利用者が年々増加している為です。

2018年度ではJRが95億5600万人、私鉄各社が157億1400万人、合計で252億6900万人が鉄道を利用しています。更に、2020年のオリンピックに向けて外国人観光客も増えることもあり、ますます利用者が増加することを見越して、こうしたカスタマーサービスの自動化が図られているということになります。

ここからは、実際にJRで導入が開始されたAiチャットボットについて詳しく見ていきたいと思います。

『えきねっと』にAi搭載で問い合わせも手続きも楽々

JR東日本のインターネット予約サイト『えきねっと』は2019年2月、Q&Aサイトの『OKWAVE』を運営するオウケイウェイヴと連携し、えきねっとのサイト上にAiチャットボットを導入しました。

チャットボットでは、文章等で利用客の質問を受け付け、回答データベースからAiが自動検索して質問内容に対応する回答文を表示します。

例えば、チャットボット上で利用客が『割引チケットを教えて』と入力すると、『えきねっとトクだ値』へ促すリンクや、『往復割引乗車券』のリンクなどが表示されます。利用客はそこからチケット購入したり、料金を確認したりすることができるというわけです。

これまで、窓口を探して駅員さんに聞いてからチケットを購入したり、ネットで買おうと思っても購入の仕方が分からず結局駅に出向いたという方もいらっしゃったのではないでしょうか。しかし、今後はネット上で質問から購入までを行うことができるようになっていますので、非常に便利です。

『LINE』にAi搭載でいつでも運行状況を把握できる

また、LINEとJR東日本は2019年3月から、LINEを介して利用客に運行状況や、コインロッカーの空き状況などの情報を提供するサービスを開始しました。

このサービスは、『JR東日本Chat Bot』のLINEアカウントを試験的に公開し、このアカウントを利用者が友達追加をすることで、JR東日本の路線の運行情報やコインロッカーの空き状況などを手軽かつタイムリーに見ることができるようになります。

特にお子様連れのお母さん等は、運行状況がスマホで片手で確認することが出来たり、コインロッカーを探す手間がなくなったりするのはありがたいですよね。

また、個人での情報把握だけではなく、グループトーク内で複数人と情報共有することも可能だということです。

忘れ物の捜索や問い合わせもAiチャットボットで

更に、JR西日本では『仕事が忙しくて電話が出来ないのでインターネット上から問い合わせたい』という利用者の声に応え、2018年の5月から、『お忘れ物チャットサービス』を展開しています。子供連れの方や、ついつい急いで降車した方など、一度や二度は車内に忘れ物をしたことがあるという方も少なくないのではないでしょうか。

この『お忘れ物チャットサービス』は、JRお出かけネット内の『お忘れ物をしたら』のページから忘れ物の情報を入力することで、気軽に忘れ物の捜索を依頼することができます。

ただし、このサービスはチャットボットで受付した内容をオペレーターに情報連携するため、捜索結果の回答や駅への連絡などは午前8時から午後10時の受付時間内のみとなるようです。

Aiチャットボット活用で外国人観光客へのおもてなし

JRだけでなく、私有鉄道においてもAiを活用したチャットボットのサービスが広がってきています。

上記にご紹介したJRの事例は、主に日本人の利用者に対するサービスであるという印象でしたが、2020年の夏に開催予定の東京オリンピックに向けたインバウンド観光客に対するおもてなしに目を向けたのが『西武鉄道』です。

それは、外国人観光客がパンフレットに記載されているQRコードを読み取り、スマートフォンから、チャット形式で問いかけると、AIが問い合わせに受け答えをしてくれるというサービスになります。

チャットボットでは、無料で英語、韓国語に加えて中国語の繫体字・簡体字にも対応しており、周辺の施設や観光案内、飲食店の検索も可能です。また、簡単な質問にはAi、難しい質問は人間のオペレーターが回答するハイブリット型の運用となっています。

ただ、本サービスは昨年1月から今年1月まで実証実験として西武新宿駅のみでの利用でしたが、西武鉄道は結果を踏まえて他の駅でもサービス導入を順次検討しているとのことです。

まとめ

今後利用者が更に増加していくのに対して、現状においても労働人口不足が叫ばれている中、Aiサービスの活用は決して利用客の利便性向上だけではありません。労働者の負担を軽減させるためにも、このようなサービスが活躍してきているのです。

現段階で実証実験が行われている鉄道会社でも、将来的には様々な駅でAiやチャットボットによる問い合わせの自動化が進むことが予想されます。また、『観光立国』を目指す日本にとっては、外国人観光客へのおもてなしも急務です。

こうした、Aiやチャットボットの活用により、さらに効率的かつシームレスなサービスが提供できるようになるでしょう。