特別定額給付金の支給が96%以上の地域で利用したAi技術とは

新型コロナウイルスによる経済政策の一環として国民一人当たり10万円が支払われる特別定額給付金について、総務省は10日までに約4910万人に給付したと発表しました。

その給付率は全国民の対象者の38.5%でありますが、各自治体によって差があり、給付率が90%を超える地域もあれば、わずか2%の自治体もあります。申請者としては、申請をしたら一刻も早く振り込まれてほしいと思う、この特別定額給付金は、申請者の銀行口座や住所など職員が一つひとつ手作業で確認をし、不備があった場合は返送するなどの手続きが必要であるため、簡単に手続きが完了するわけではありません。

しかしながら、三重県の志摩市ではなんとAiを利用したシステムで特別定額給付金の普及率が96%を超えているといいます。そこで本記事では、特別定額給付金の振り込み手続きにおいて活用されたAiシステムはどのようなものなのか解説してまいります。

特別定額給付金の振り込みを速めたAiシステムとは

三重県志摩市で特別定額給付金の振り込み手続きに活用されたAiシステムは、記入内容が自動で読み取られるうえ、データベースへの入力作業も行うことができるとして、通常1件あたり5分はかかる作業がわずか30秒で済むことができるシステムであるといいます。

みずほ情報総研と京都電子計算が提供を開始するAiシステム

このようなAiシステムについては、各企業も目を付けており、みずほ情報総研(向井康眞社長)は6月5日、京都電子計算(山本忠道社長)とリセラー契約を結び、京都電子計算が提供する『AI手書き文字認識サービスfor特別定額給付金』の自治体向け導入支援サービスの提供を開始したと発表しました。

尤も、この特別定額給付金の申請については、オンラインの申請と郵送での申請の2種類があったものの5月下旬以降オンラインでの申請を停止・中止する自治体が相次ぎ、今後申請書の処理が急増することで業務負荷の高まる自治体が増えることが想定されるといいます。そこで今回、みずほ情報総研では、京都電子計算のAi手書き文字認識サービスfor特別定額給付金を自治体に提供することで、自治体の効率的な業務運営を支援していく方針です。

AI手書き文字認識サービスfor特別定額給付金は、自治体で受け付ける『特別定額給付金申請書』の業務に対して、手書き文字の確認から修正までをAiで行うことができるといいます。

給付金の申請に関する疑問に答えるAiチャットボット

また、申請書の処理業務にとどまらず、申請者の特別定額給付金に関する質問にこたるAiチャットボットを活用している自治体もあります。特に、郵送での手続きについては申請ミスや、不備などで返送になっている申請者も一定数いることから、手軽に質問に答えられるAiチャットボットサービスを開始、導入したことで、申請処理における業務不可を低減させたり、申請者側の不安を取り除く要因になったとみられています。

コロナ給付金を巡った詐欺にもAiを利用

更に今回のコロナウイルスによる特別定額給付金を巡った詐欺も多発しています。こうした詐欺の防止に利用できるAiシステムもあり、巧妙化する手口をディープラーニングなどの技術を活用して未然に防ぐことができるようです。

Ai搭載のセキュリティシステムでコロナ給付金を巡った詐欺を撲滅

今後は、申請書の確認や処理、そして振り込み手続きにAiが活用されることによってセキュリティが強化されることが予想されます。例えば、人間の作業であれが確認済の書類や不備のチェック漏れなども起こりうる可能性がありますが、Aiはビッグデータを保存、管理しておくことができるので、一度確認した資料は記憶し、チェック漏れなどもほぼありません。

こうしたことから、手続きや処理にAiを利用し、その上にAiによる詐欺の未然防止システムを利用することにより、さらに詐欺に対する対策が強靭化していくことになるでしょう。

今後は補助金の申請もAiでできる!?

政府からお金が給付される制度は、今回の特別定額給付金だけではありません。日本にはあらゆる業界、シーンで利用することができる補助金や給付金制度があります。

こうした各種給付金制度についても、現状郵送の手続きで行っているのがほとんどで、審査等も含めて実際に申請者に補助金等が振り込まれるまでに約2~3か月の時間を要します。

今回の特別定額給付金の申請において活用したAiシステムを、補助金や助成金の申請に利用することができれば、それらの申請に関する手続きや、振り込まれるまでの時間等もかなり短縮することが可能になるでしょう。

余談ではありますが、Aiシステムを導入するときに活用できる補助金制度についても、下記の記事にて解説しておりますので、ご覧ください。各自治体がAiシステムを導入するときにも利用できます。

Ai技術を導入するとき、開発するときに利用できる補助金・助成金

 

 

 

まとめ

本記事では、新型コロナウイルスの影響による経済政策において給付される特別定額給付金で、自治体が振り込み手続きを効率化したAiシステムや、その他自治体からの補助金等にまつわるAi、詐欺の防止に利用できるAiシステムなどについて解説しました。

実際、特別定額給付金の振り込み手続きは、各自治体によって遅れが出ていたり早くに振り込みが完了していたりと違いがあるのが現状です。2週間たっても振り込まれない地域、1週間程度で振り込みが完了する地域、そして給付率が1桁である地域もあれば、90%を超えている地域もあるなど、それぞれの自治体の人員や業務スピード、導入しているシステムによってさまざまです。

その点、Aiシステムは人員が少なくても、人が確認をするスピードの何十倍ものスピードで確認、そしてデータ入力まで行うことができます。これは今後補助金制度などにも利用されるようになれば、各種補助金の審査や手続きについても今より迅速に処理を終えることができ、振り込みまでの時間を短縮することができるようになるかもしれません。