Ai関連発明の特許出願状況からみるトレンド

先日、経済産業省よりAi関連における特許出願状況の調査にかんする報告されていましたが、この国内外における調査を経済産業省が行っているということからもわかるように今や企業だけでなく政府も大きくこのAiに対しての関心が高まっているといえるのではないでしょうか。今回はこの特許出願状況から読むAiトレンドについて考えていこうと思います。
ブームに沿った特許出願数
トップの画像にもあるように、Ai関連の特許出願数が2014年から急激に伸びてきています。また長期的なトレンドとしてみたときに1991年の第二次Aiブームから収束していた特許数が2012年を底に上昇し、2017年から爆発的に伸びてきている状況です。
その数およそ2014年と2017年の出願件数を比較すると約3倍となっております。そのうちの深層学習、いわゆるディープラーニングに言及するAi技術は20倍もの数となってきております。
第三次Aiブームにおける特許の傾向とは
特許情報フラットフォーム内の検索画面でAiと打つだけで、該当する件すっが6万件を超えます。また音声認識で検索をかけると約2万件の検索結果が表示されます。
年度で比較してみると現在2019年7月頭ということで2019年の半分が過ぎたところでの数値となりますが、単純にキーワード検索をかけただけでもわかるように機械学習というワードのある特許数は年々急激に伸びてきています。今年の「機械学習」キーワードでの特許数はすでに435件で昨年の595件のすでに73%まで来ている状況です。単純計算の予測であれば、700件ほど今年の特許数はなるのではないでしょうか。
一方で音声認識・画像認識・文字認識というキーワードではさほど伸びがみえないようです。つまり、機械学習の特許は基本的な3つの分野から次のステージに移ったのではないかと考えられます。
AI関連発明の適用分野の推移(2017年の出願件数を表記)
経済産業省のリリースでは画像処理や情報検索・推薦・ビジネス関連、医学診断分野が目立ってきているといいます。特に制御ロボティクスの分野への適応が増加傾向にあるということです。
世界におけるAiコア技術に関する出願件数の推移
五庁及びPCT国際出願における、AIのコア技術に関する出願件数の推移
(JP:日本、US:米国、EP:欧州特許庁(EPO)、CN:中国、KR:韓国、WO:PCT国際出願(出願人国籍問わず))
上記におけるグラフを比較してみると、日本国内で伸びてきている特許出願数ですがアメリカや中国といったIT大国の数と比較するとまだまだわずかなものでしかありません。つまり今後のA技術に関しては日本国内の技術よりもSNSの文化同様にアメリカから日本国内に入ってくるものが多いと予測されます。
さらにGoogleがAi技術を開放したことにより日本における開発スピードも加速してきたのではないかと考えられます。アメリカや中国がAi関連の特許技術を世界に発信しそれに影響され日本の今後の技術もより活性化していくのではないでしょうか。
Ai技術のオープン化と特許化の波
このようなAi特許申請の波が来ている一方で、もう一つの波がAi技術のオープン化というものです。それぞれの方向性は相反するもので、GoogleにおいてはTensorFlowでAiの今までの技術をオープンにしています。
オープン化することによって、開発される環境そのものにデータが蓄積されていくことはもちろんのこと技術そのものが独り歩きをある意味はじめることができ、技術革新がすすむという見方があるようです。
一方で知的財産権を主張するためにも、特許という形で技術を守る必要があります。サービスが広く展開される前に技術を特許で守るという発想は、昔ながらの方法の一つではありますが、インターネットにおけるソースのオープン化をはじめフリーミアムというビジネススタイルが出てきているのと同様に技術もある程度オープン化していかなければ世の中に普及していかないというのも事実です。
今後、私たちはこのようなオープン化された開発環境を利用してかつ自身の技術磨き採取的に特許にするもよし、またオープン化して別のビジネススタイルでマネタイズしていく新しい方法をみいだしていかなければいけないのではないでしょうか。
まとめ
特許の出願数の変化から見て取れることは、これらの特許を取得したAi技術を使ったサービスや製品が増えてくることは間違いありません。私たちは、この世界で増え続けるAi技術をどのような場面で使っていくか、利用していくかを検討し推進していかなけれなりません。
数十年前に一太郎をなどのワープロを使っていた会社が、Windowsのマイクロソフトのワードに切り替わりました。新しい技術を自社の業務に取り入れ変化成長できる会社が今まで大きくなってきています。これから先の5年10年で再びパラダイムシフトが起こることは間違いありません。今のうちに情報をキャッチし、導入できるものはいち早く導入し、この変化に備えておきましょう。