Aiが人間の感情を読み取る時代に。婚活もAiがマッチングサポート!?

視覚認識や行動認識など、AI技術の性能はどんどん人類に近づいています。近年では、人間が持つ感情をAiによって読み取ろうとする感情認識技術の研究が進められており、様々な分野において活用が広がってきています。

特にこの技術は、婚活業界など人と人の出会いをマッチングする場において、現状の課題解決につながる手段であると期待が高まっている現状です。

Aiで婚活?それは一体どういう事なのでしょうか。

 

Aiが人間の感情を読み取るとは?

感情の認識は人間でも難しいものです。しかし、Aiによる感情認識は、認知のズレがほぼなく、うまく活用することでこれまで以上にきめ細やかな対人サービスが広がる可能性があります。

Aiの感情認識は、まず表情や顔面の血色の変化といった分析から始まり、声の大小、高低に加えて周波数の変化といった音声での認識、さらには脈拍などの変化といった生体情報での認識から、より正確な情報をデータ化していきます。

Aiが表情筋から感情を推定

凸版印刷がシステム開発のシーエーシー、米ベンチャーのアフェクティバと組んで実用化を進めているAiでは、75カ国約600万人分の教師データを使い、一般のヒトが見落としがちな微表情も捉えられるようになりました。

ここでは顔の筋肉を40以上の種類にユニット分けし、それぞれの動きの大きさで表情を定義していくことで、感情と表情筋の連動性を解析していきます。

同社が開発中のこの感情認識Aiは、感情を推定することが苦手な自閉症患者が表情を読むための訓練にも利用されています。患者がAiと連動させた眼鏡をかけると、対話相手の表情が何を意味しているのか、イラストや文字でレンズ上に表示される仕組みです。

これらは、脳波などの生体情報を計測して、感情を数量的に把握することも可能であるといいます。

カメラで脈拍を把握

パナソニックが開発した感情認識Aiは、カメラとサーもカメラを利用して血流に合わせてごくわずかに変化する肌の色から脈拍を推計する技術を活用しています。
非接触で自然にセンシングし、そこから得られる生体情報を用いて人の感情、体調を推定することができるのが特徴です。表情だけでは認識しづらい感情も、脈拍等を交えて推定するため非常に高精度に推定できるといいます。

 

婚活業界で普及しつつあるAi

このように、Aiの感情認識における技術は年々進化していっていますが、近年では婚活業界においてもAi搭載を謳った婚活アプリなどが登場してきています。ここからは、これらのAiによる感情認識技術を婚活に活用することでどのような課題解決が期待できるのか、実際の活用事例を交えてご紹介していきます。

婚活業界における現状の課題

そもそも、婚活業界における現状の課題としては、下記のような課題があげられています。

婚活スタイルの多様化

年齢を問わずスマートフォンやネットを使うことが一般的になっている今、婚活のスタイルもネットを利用したものに様変わりしてきています。

それも、結婚相談所や親戚・友人を通じての婚活は勿論ですが、地域の特性を生かした合コンイベントである『街コン』や『婚活パーティー』、ネット婚活と言われる『婚活サイト』『婚活アプリ』など、男女の出会いを提供する婚活サービスは増え、様々なスタイルへと多様化してきているのです。

更に、婚活ビジネスの市場規模は、直近約10年間で3倍以上と急速な角度で拡大していっていますので、今後婚活企業が提供する婚活サービスには、更なる多様性とより成果を求めた効率的なサービスへの変革が求められてきます。

潜在顧客の獲得が難しい

明治安田生命福祉研究所によると、「恋人がいる」未婚20代男性は5人に1人にすぎず、「交際経験なし」の未婚20代男性は4割に達するといいます。一方で、未婚20代男性の7割は『結婚したい』と考えており、未婚20代女性にいたっては、8割が『結婚したい』と考えているそうです。

ところが、男女とも未婚30代の3人に1人は、『いずれ結婚したい』と答えており、婚活に対して消極的でもなく積極的でもない潜在層の顧客が存在します。しかし、婚活業界では年々婚活ビジネスの市場規模は拡大していっているにも関わらず、このような婚活への気持ちがあやふやな潜在層の顧客へのアプローチが難しいのが課題です。

婚活者の『高望み』

婚活における最大級の課題として挙げられるのが『婚活者の高望み』です。特に、経済力で言えば20代未婚の女性57%、30代女性の66%が『結婚相手の年収の理想は400万円以上』と答えていますが、未婚男性で年収400万円以上に達しているのは、20代で12%、30代で27%に過ぎないといいます。更に、同調査で未婚30代男性の3人に1人が「女性と話すのが苦手」と答えています。

現代の婚活ビジネスでは、女性が苦手な男性と、男性に求めすぎている女性をマッチングしなければ、成立は難しいのが現状です。

婚活大手のAiマッチングは『人柄』『相性』を重視

上記のような課題解決においてAiの活用が広がってきているのは、AIは莫大なデータのなかから一定の法則をみつけることが得意だからです。

それはつまりどういうことかというと、全登録者の詳細な個人情報が入っているデータベースのなかから、特定の顧客の『好みという法則』を見つけ出す事で、マッチングにつなげるということです。

大手婚活企業、パートナーエージェントでは『KIBIT』という婚活Aiを導入しています。KIBITは、過去に成婚したカップルのデータを学習し、データと類似性の高いカップルをリストアップするという仕組みです。

具体的には、会員の紹介文から人柄や価値観・好みといった定性情報やプロフィールデータの特徴を学び、過去の成婚実績データも踏まえて、可能性の高い候補者をスコアリング化することで一人ひとりに合わせた最適な提案が可能になるといいます。

これまでの婚活において、先ほどの婚活業界の課題としても挙げたように、年収や身長、学歴などが大前提としてあげられる条件でした。これらが婚活者にとって、重要な判断基準であることには変わりはないのですが、KIBITが割り出すのは、条件ではなく『人柄』や『価値観』による相性であるといいます。従来の成婚コンシェルジュが目で判断するしかなかったその人の調書やお相手との相性の良さをAiが発見し、マッチングしてくれるのです。

この、Aiを活用したコンシェルジュは導入から5か月で10組が見事に成婚しているといいます。

婚活スタイルも多様化してくる中で、このような新しい取り組みを導入することは、もしかするとこれまで婚活に対してあやふやな気持ちでいた潜在層の顧客の獲得につなげることができるかもしれません。

Aiの活用で面談時間の削減に

30代になると未婚の男女の3人に1人が『いずれ結婚したい』というように、半ばどちらでも良いという意見が目立ってくるのは、いわゆる婚活にかける時間的問題もあるかもしれません。30代の男女における婚活から結婚までの期間は、約2~3年であるといいます。働く女性も多い中で、結婚したいと思いつつ、婚活にかけられる時間がそれほどないと感じている方もいるでしょう。

しかし、Aiを活用した婚活であればマッチングまでの時間を約半分ほどに削減することができるといいます。実際に、人と仕事のマッチングである人材派遣業界で導入したAiでは、候補者とAIがチャット形式で対話し、候補者の業務経験とスキル、募集案件や企業とのマッチング度合いを示すことで、商談時間が半分に短縮されるといった効果が実証されました。

 

Aiマッチングにおける今後の可能性

これまで、婚活や出会いの分野では、婚活者の条件に縛られ、コンシェルジュの経験や判断力といったスキルに依存しがちな面がありました。しかし、今後、Aiが膨大なデータから客観的に判断することで、人間によるマッチングではおもいもよらなかった組み合わせが生まれ、出会いの幅が広がる可能性が考えられます。

また、Aiによるマッチングが広がることで今後は『学歴』『身長』『収入』といった条件よりも、相性や人柄から人生のパートナーを選択するといった傾向になると良いですね。

 

まとめ

日本の生涯未婚率は年々増加傾向にあります。一方で、いずれ結婚したいと考えている未婚者(18~34歳)の割合は男性86.3%、女性89.4%と高くなっているのも事実です。婚活業界、婚活ビジネスにおいても、Aiの感情認識技術等を活用することで、このような問題に効果的にアプローチしていくことが可能になるかもしません。

人の感情を読み取ることは、人間には難しい事ですが、Aiにはそれが可能です。人と人とのつなぎ目をAiが担うことになる未来は、もうすぐそこまで来ています。