企業がAi面接を導入するメリットとデメリット

作業効率化や、人の手に代わって作業にあたることができることから、人手不足解消の面でも注目が集まっているAi。

実はそのAiが近年、企業の面接にも注目され始めているということを御存知でしたでしょうか?採用を機械任せなんてと思われる方もいらっしゃると思いますが、実際にアマゾンなどのグローバル企業ではすでに活用が始まっているのです。

一体Aiに面接を任せてしまうことにどのようなメリットがありどのようなデメリットがあるのでしょう。今回は、Ai面接について深く掘り下げて解説していきたいと思います。

Ai面接とは

そもそも企業において面接とは企業の理念に合致した人材を選りすぐるためのふるいにかける手段と言えます。ところが企業が採用に心血を注いでも短期間で離職されてしまうケースも少なくありません。また、グローバル化などもあり就職の選択肢も広がってきていることから、企業側からするとどのような採用をすべきかの判断が難しくなってきている面もあります。

 

一方Ai面接とは、スマートフォンやPCといった電子機器を介し、企業の面接官に代わってAIが応募者の資質を判断するサービスのことです。とはいえ、一次面接から採用までのすべての行程をAiが担当するわけではなく、Ai面接は採用に至るまでの面接の1つに過ぎません。

就職希望者はスマートフォンなどの電子機器を介してAiに出される質問に対して受け答えをし、その質問中の表情などもデータとして収集されていきます。これらのデータをもとに、柔軟性があるか、理解力があるかなどの複数の項目で評価が与えられることになるわけです。

このように、映像認識や言語認識、ディープラーニングなどの技術を利用することで、人間よりも高いパフォーマンスを遂行できるようになりました。つまり、Aiは人間の先入観に囚われない意思決定ができることから、面接においても潜在的な能力や資質を見出すことができると期待されているということです。

Ai面接のメリット

では、企業においてAi面接を導入するということはどのようなメリットがあるのでしょうか。

1次面接の代替で人材不足解消も

現在多くの企業において人材不足が叫ばれていますが、これまで採用担当によって行われてきた一次面接に代替されるというイメージが近い為、最も対応人数の多い一次面接をAiが担当することによって、採用担当は他の仕事に集中することができるようになります。

更にはグローバル化により海外からエントリーする応募者も増えてきている中、Ai面接であればスマートフォンやPCなどのデバイスを通して遠隔で面接を受けることが可能で、一次面接の時点でわざわざ日本に来てもらう必要がありません。また、日本在住者にとっても同じです。企業によっては面接のための交通費を負担しているところもあるかもしれませんが、地方から企業まで足を運ばせる必要がなくなるので交通費の削減にもつながります。

このように、場所を選ばないAi面接が人材不足を補う上に、採用の幅を広げることができることによって、最終的に多くの人材を採用することができるようになると期待されています。

公平性の維持

面接のばらつきが抑えられ、公平性が保たれる点もAi面接のメリットとしてあげられます。特に一次面接の段階では受験者も多いうえに採用側のスタッフの数も多くなりますので、スタッフによって判断基準が生じる場合があります。

しかし、Ai面接はエントリーした人を皆同じ条件下で合否を決めることができますので公平性を維持することが可能です。

Ai面接のデメリット

とはいえAi面接にはもちろんメリットだけではありません。ここからはAi面接のデメリットんについても解説して行きたいと思います。

Aiの判断をうのみにできない

Ai面接はビッグデータをもとにすべてのエントリー者を公平にジャッジできるというメリットはありますが、一次面接に相当する段階とはいえAiの判断が採用不採用に直結するためすべての判断を鵜呑みにしてよいのかという疑問は生まれてきます。

ですので、Ai面接の判断を人が再確認する必要も出てくるでしょう、ただ、その場合、Ai面接がどのくらい作業効率化につながっているのかは検討する必要があるといえるかもしれません。

すべての資質を計算することは難しい

また、Aiのジャッジにも得意分野不得意分野があります。不得意分野としては組織力やリーダーシップといった資質を見抜くことです。こうした資質はAi面接よりもグループ討議を用いた面接のほうがエントリー側も実力を発揮しやすい上に、採用側も判断の漏れを防ぐことができるでしょう

企業によってはAi面接の活用がエントリー等ごく初期の面接に限られてくるといった場合もあるかもしれません。

Ai面接『SHaiN』とはどんなもの?

Ai面接は作業効率化、人材不足の解消などのメリットがあげられる半面、すべての判断を鵜呑みにできないなどのデメリットが存在することがわかりました。とはいえ様々なビジネスシーンで活用が始まってきているAiですから、採用面のAiも今後進化を続けていくのではないでしょうか。

ここからは代表的なAi面接サービス『SHaiN』の事例を用いてより詳しくAi面接について解説していくこととします。

SHaiNとはStrategic(戦略) Hiring(採用) Ai(人工知能) Navigator(装置)の頭文字を取ったもので、スマートフォンが面接官の代わりになりエントリー者の様々な資質を数値化しレポートにまとめる機能が搭載されたサービスです。

SHaiNによる面接時間は約60分程で、60分間の間にバイタリティ、イニシアティブ、対人影響力、柔軟性、感受性、自主独立性、計画力という7つの項目について質問が行われます。さらに受検者の回答した内容がすべて文字起こしされ、受検者が話した言葉がデータとして残されます。

エントリー者側の操作法としては、スマホなどの画面上に表示されたアプリの指示にしたがって本人認証を行い、『面接開始』のボタンをクリックすればスタートができますので簡単です。

エントリー者の回答に与えられる時間は1分間、その間に質問に答えなければなりません。回答中はスマホのカメラが起動して答えている様子が動画で撮影されます。また、受け答えが不十分な場合は質問に何度も詳しく繰り返し質問される場合もあるといいます。

質問が終わると、5営業日以内でSHaiNが独自に開発したメゾットを用いて専門スタッフがその候補者の資質を評価レポートとしてまとめ、企業側に提出をします。

このように、SHaiNはあくまでも一次面接などの初期段階の『資質』を判断するものであって、採用の合否を決定するものではないといいます。ですから、レポートにまとめられた資質をもとに、企業側は二次面接、三次面接を重ねていくというわけです。

まとめ

『Ai面接』ときくと、Aiが採用の決定までを行うものとイメージされがちですが、現段階では人間の採用をコンピュータにすべて任せてしまうリスクは少なくなく、すべての判断を鵜呑みにできるわけではありませんので、あくまでも『一次面接』などの初期段階の代替のイメージと思っていただくと良いでしょう。

とはいえ、人間の資質を判断するのは採用において企業の色と合うかどうかを判断する部分でもありますから重要な事項であると言えます。しかし、この重要な部分が人間の判断ですと、どうしても気分や好みに左右されてしまうことが少なくありません。その点Ai面接であればそれぞれの価値観や経験などについて平等に評価されるという面もあります。

また、SHaiN導入企業では、大人数の書類選考を行う大企業の新卒採用選考ではAi面接の導入で選考期間を短縮して効率化することにも成功したといい、地方企業ではAi面接導入によって遠方まで面接を受けに行くハードルが下がったことから応募者数が増大し、採用人数をふやすことにつながったケースもあるといいます。

人間には判断ができない潜在的な部分も瞬時に公平な判断をくだすことができるAiは、採用面でも活躍の場が増えていきそうですね。