Aiが認知症診断を支援!日本で特許査定を取得した自然言語解析とは

認知症は、誰もがその可能性を持っている身近な病気です。また、高齢者だけがかかるものではなく、65才歳未満でも「若年性認知症」と診断される場合もあり、決して他人事の病気ではありません。

そのため早期発見・早期治療が重要とされていますが、初診から診断までに1か月以上かかる事例も出ており、診断の迅速化が望まれています。そうした中、Aiによる認知症診断「自然言語解析」が診断の迅速化に繋がるとして話題になっています。

そこで今回は、認知症の原因や特徴、Aiによ自然言語解析でどのように認知症診断をしていくのか、併せてAiによる認知症の診断事例をご紹介していきます。

認知症の発症の原因・特徴

まずは概要でも触れたように、身近な病気である認知症の発症の原因や特徴について調べてみました。

認知症とは

認知症とは人間が成人に達し、正常に発達した精神機能などが何らかの原因によって慢性的に減退・消失することをいい、日常生活や社会生活を営めない状態のことです。

中でも分かりやすい症状として記憶や判断力低下が見られてきますが、よく似ていることから間違いやすいのが「加齢によるもの忘れ」の症状があります。この2つの違いについてみていきましょう。

引用元:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html#section1

 

同じもの忘れでも自覚があるかないか、日常への支障をきたすかどうかを見ると判断しやすいです。

そして、認知症の中でも4大認知症と呼ばれているのが「アルツハイマー型」「レビー小体型」「脳血管性型」「前頭側頭型」であり、この4大認知症は症状や治療法もそれぞれです。

認知症の発症の原因・特徴

認知症が進行する最大の原因は加齢によるものですが、脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったり、とさまざまです。

ここでは、4大認知症のそれぞれの特徴を調べてみました。

引用元:http://www.tougouiryou-fukudaclinic.com/dementia.html

このように、症状や特徴が全く異なることが分かります。

身近な家族などが認知症の疑いがある場合は、早めに受診しそのうえで今後病気とどう向き合って行くべきなのか、医師や地域包括センターなど家族内で抱え込まず相談することをおすすめします。

ここまでは、認知症の症状や特徴についてあげてきました。次項からは、こうした認知症をAiが診断支援を行う自然言語解析」についてご紹介していきます。

Aiによる認知症診断支援・自然言語解析とは

(株)FRONTEOが、日本で初めて認知症診断支援Aiシステムに関する特許査定通知を日本特許庁より受領しました。では、早速どういったものなのかみていきます。

自然言語解析Ai「Concept Encoder」とは

(株)FRONTEO独自のライフサイエンス分野特化型自然言語解析Ai「Concept Encoder」とは、これまで専門医でなければ難しいとされていた認知症の診断を、Aiが5~10分の自然な日常会話から短時間でスクリーニングができる、日本初のシステムです。

通常の認知症検査の流れは、

①医師との面談にて現在の状況確認や概要歴の聞き取り

②一般身体検査として、血液検査・心電図検査・感染症検査・X線撮影

③認知検査として、神経心理学検査・脳画像検査(CT/MRI)

です。③の神経心理学検査においては専門の医師が必要なため、場合によっては検査を断念する、あるいは遠方に出向く必要もあったでしょう。

こうした部分が、医師に代わりAiが診断することで患者やご家族、そして医療機関においても効率化やメリットは大きいです。

引用元:https://lifescience.fronteo.com/aidevice/dementia/

Aiを活用することで図れる効率化やメリット

前述したように、Aiを認知症の検査に活用することで大幅な時間を省き高齢者に負担をかけないばかりか、以下のような効率化やメリットを得ることができます。

・遠隔医療医療を始めとするデジタル医療の進展・効率化・標準化

・患者と医療従事者双方の身体的・心理的の軽減

診察を受ける側にとっては、「どんなことを聞かれるのだろう、何をするのだろう」など精神的な負担を誰しもが感じるものです。そうした不安からも少し解消されますし、何より専門医がいない地域や高齢化社会の日本にとって、遠隔地で診断ができるのは交通費等の負担を減らすことにも繋がります。

その他のAiによる認知症診断事例も、次項で併せて取りあげていきます。

【Ai教習システム】高齢者の自主返納検討に新たな選択肢広がる | Aiチョイス (ai-choice.jp)

Aiによる認知症診断事例

では、早速認知症診断事例を2つご紹介していきます。

Aiによる顔写真判定で正解率は90%以上

東京大学医学部付属病院が、Aiを活用し人間の正面・無表情写真を解析、認知症診断に90%以上の正解率を出しています。

これは、老年病科を受診しもの忘れを訴える患者および同大学高齢社会総合研究機構が実施している大規模高齢者コホート調査の参加者の中から同意を得た、認知機能低下を示す群(121名)と正常群(117名)の弁別ができるかを、Aiワークステーションで解析したものです。

軽度の認知症は判断が難しい場合もありますが、症状によっては脳脊髄液の摂取など患者の身体的・経済的不安が大きいこともあり、写真判定だけによる方法は安心で安全な方法として今後も期待されている診断方法です。

Aiが人の日常的な行動から認知症を解析

筑波大学とMBIが、AiやIOTを活用し認知症の前段階である早期認知障害(MCI)を判別する研究を共同で行い、日常の行動から認知症を解析した一部を発表しました。

これまでの認知症の対象はMCIという、認知症の前段階によるもの忘れはあるが日常生活に支障のない人たちです。しかし、その軽度の認知障害のさらに前の段階である「プレクリニカル期」の段階で治療をすることで効果があるのでは、という観点から始まった研究です。

認知症検査で行う脳脊髄液やPETではなく「日常の行動」であれば365日、日々のデータを分析することが可能であり、Aiによる情報解析によって認知症と関係の深い行動特微量を抽出し、早期発見することを目指しています。

排泄動作の自立支援システムの構築

引用元:IoTとAIで認知症の早期発見に挑む – 日経ビジネス電子版Special (nikkeibp.co.jp)

高齢化の日本におけるAiによる今後の活躍

内閣府の「令和元年版高齢社会白書(全体版)によると、我が国の総人口は平成302018)年10月1日現在では、1億1,644万人であり、その中で65歳以上の人口は3,558万人、総人口の28.1%と日本が高齢化であることは明らかです。

そして、厚生労働省老健局「認知症施策推進総合戦略」によると、高齢者の約4人に1人が 認知症あるいはその予備軍であり、令和7年には約700万人・約5人に1人が該当すると予測しています。

今後、認知症患者が増えるとされる日本においては、専門医に代わるAiによる診断支援が短時間で検査可能・なおかつ痛みを伴わない方法としても、今後はますます普及していくでしょう。

まとめ

本記事では、認知症に関する症状や特徴、Aiを活用した診断支援や診断事例をご紹介致しました。

現在の医学では、残念ながら「こうすれば認知症にならない」という方法はありませんが、早期発見・早期治療、運動、何らかの達成感を感じること、他人との交流、趣味など無理なく続ける、などがあります。こうした5つのポイントを、健康な体を保つためにも改めて見直してみるのも良いですね。

そして、最後にご紹介したAiによる認知症診断支援は、前述したメリットや効率性が高いことからも、今後は普及していくことが予想されます。身近な病気であるからこそ、もっと簡単に早期発見・早期治療に繋がるシステムが求められますし、そのためにもAiの支援が必要不可欠となってくるでしょう。

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