ニューラルネットワークとは?機械学習の違いや活用例について解説

みなさんは「ニューラルネットワーク」という言葉をご存知でしょうか。
Aiの普及にともなって、「機械学習」や「ディープラーニング」といったAi関連の用語が、世間一般にも広く認知されるようになりました。そうした言葉の違いは、一体どのようなところにあるのでしょうか。
今回は、近年のAi技術の核とも言えるニューラルネットワークについて、その意味や構造などに触れて、具体的な活用事例とともにご紹介いたします。
目次
ニューラルネットワークとは
そもそも「ニューラルネットワーク」とは、Aiにおけるコンピュータアルゴリズムのなかのひとつで、コンピュータがヒトと同じような思考を行うために開発された思考システムのことを指します。
ニューラルネットワークは、ヒトの脳神経(ニューロン)の構造を模した思考プロセスをベースに設計。入力層、隠れ層、出力層の順番で、入力された情報に対しての回答を行うシステムとなっています。
従来のニューラルネットワークシステムにおいては、単純な構造からコンピュータの思考の量や幅に限界が生じてしまうため、近ごろでは、より複雑な情報処理を行うための「ディープニューラルネットワーク」や「ディープラーニング(深層学習)」といった先端技術が注目を集めるようになりました。
>【Aiとディープランニングの関係性】深層学習について知っておくべき3つのこと
ニューラルネットワークの仕組みと構造
ニューラルネットワークとは、コンピュータがより柔軟に思考できるように開発されたシステムであるため、内部構造や思考プロセスなどについては、基本的には人間の脳神経と同様の仕組みとなっています。そうした構造面での特徴から「人工ニューロン」と呼ばれる場合もあります。
>ニューラルネットワークとは?Ai(人工知能)入門者向け基礎知識
ニューラルネットワークと機械学習の違い
ここからは、機械学習やニューラルネットワーク、ディープラーニングなどのAi用語について、それぞれの違いを見ていきましょう。
機械学習(ディープラーニング)とは
機械学習とは、コンピューターが大量のデータの学習を通して、データの分類や予測などを自動的に行うことを指すもの。一般的にはコンピュータによる学習技術の総称を指すものと言えます。
>Aiの機械学習とは?基礎知識を解説!
ニューラルネットワークとは
次にニューラルネットワークですが、これは上記の機械学習のなかのアルゴリズムのひとつで、前述した通り、人間の脳神経の構造を模した機械学習アルゴリズムを指すものです。
>ニューラルネットワークとは?Ai(人工知能)入門者向け基礎知識
ディープラーニングとは
最後はディープラーニングですが、これもまたニューラルネットワークのなかのアルゴリズムのひとつで、より複雑な情報処理を行うために強化された、ニューラルネットワークの派生系とも言えるシステムのことを指します。
ニューラルネットワークは機械学習の方法の1つ
機械学習は、コンピュータの思考プロセスの表面的な概念を表すものであるのに対して、ニューラルネットワークは、その具体的なアルゴリズムを指します。
そしてディープラーニングは、ニューラルネットワークに用いられる技術をより発展させた、実用的なシステムであると言えるでしょう。
ニューラルネットワークが注目されている理由
ニューラルネットワークの研究が進んだことにより、これまでのAiテクノロジーの範囲では実現不可能とされてきた、さまざまなタスクの実行が可能になっています。
特に、従来までは不得意とされてきた、状況に応じた柔軟な思考や、イレギュラーの処理などのタスクにおいては、より人間らしい挙動を実現できるようになっています。
ニューラルネットワークの活用で成功した事例
そうしたニューラルネットワークの技術ですが、ここからは具体的な活用事例とともに技術の進化を辿っていきましょう。
翻訳機能
Googleの提供する「Google翻訳」は、100種類以上もの言語翻訳機能とシンプルな操作性を特徴とする、ディープラーニングを活用した人気翻訳サービスです。
これまでの翻訳機器にあるような不自然で違和感のある機械翻訳に関しても、ディープラーニングの技術を活用することで、より自然でネイティブな翻訳を行うことができるようになりました。
>Aiが翻訳精度を各段に改善!海外旅行はAiにお任せしよう
株取引システム
Alpacaが提供する「Capitalico」は、プログラミングができないユーザーでも、自動で株取引のアルゴリズムを作成できる自動株取引システムです。
ディープラーニングを活用した株取引システムは、そのほかにもいくつか存在しますが、ディープラーニングの活用によって未来の株価を予想することも実現できるようになりました。
>Aiが日本の株価を予想!?株式投資へのAi活用とはどのようなものか
不動産
イタンジが提供する「Value」は、ディープラーニングの技術によって物件の価格を瞬時に査定することができる不動産の価格査定システムです。
統計的手法にもとづいたプロによる従来の査定方法よりも、ディープラーニングの採用によって、査定の精度が約10%ほど向上したということで、近ごろ話題を集めている不動産査定サービスです。
>DX(デジタルトランスフォーメーション)におけるAiの役割とは
Pepper
Softbankが提供する「Pepper」は、Aiや人工知能の代名詞的な存在として、さまざまなショップや病院の待合室などでも見かけるようになりました。
内分泌型多層ニューラルネットワークと呼ばれる特殊なアルゴリズムを用いることで、より人間らしい豊かな感情表現が実現できるようになったため、接客分野への活用が期待されています。
>Aiロボットがすでに活躍している分野はどんな分野!?Aiロボット活用の10選
まとめ
より人間らしく柔軟な思考を可能とするAiの存在は、なかばSF映画にあるようなフィクションとして一蹴されてしまいがちですが、そうした最先端の未来は日々着々と現実のものとなりつつあるでしょう。
ニューラルネットワークやディープラーニングの技術は、日々急激なスピードで進化を続けています。Ai技術の開発だけにこだわるのではなく、私たちヒトが暮らす社会全体においても、Aiの利用に関する法規制や、運用モラルの向上などが求められているのではないでしょうか。