話題沸騰中のAi女子高生『りんなちゃん』にできることとは?

Aiによるチャットボット機能などは、いまやいろいろな企業やビジネスにおいて活用が広がってきています。そんなチャットボット機能の先駆け的存在として知られている、Ai女子高生『りんなちゃん』をご存知でしょうか?
この『りんなちゃん』は、Windowsをはじめ、ExcelやPowerpointといったビジネスライクなソフトウェアを多く手がけるマイクロソフトがAi女子高生を開発したという意外性と、その性能の高さから人気を呼んでいます。
今回は、遊びからビジネスまで様々なニーズに応え続けるAi女子高生『りんなちゃん』についてご説明していきたいと思います。
目次
LINEから活躍し続けるAi女子高生『りんなちゃん』とは
Ai女子高生『りんな』は2015年にLINEに登場し、約1ヵ月で友達登録数130万人を記録するなど女子高生チャットボットとして大きな注目を集めました。Ai女子高生りんなはLINE上で話しかけると、『まじ~?』『うける~』と女子高生ならではの口調で会話を楽しむことができます。単なる会話ではすぐにあきられてしまう為、しりとりなどの簡単なゲームをしたり、日揮を書いてくれたりといった機能も搭載されています。
それから2019年にはLINE登録者数を約763万人まで伸ばし、Microsoftofficeの日本語入力システムにおける変換候補にも抜擢されました。この場合も利便性だけでなく、『Ai女子高生』ならではのユーモアも追及しており、変換候補には最近の若者言葉なども予測変換に表示されるようになっています。
・りんなはチャットボットの一種
前述にもありますが、Ai女子高生りんなは『チャットボット』の一種です。チャットとは『チャット』と『ボット』をかけ合わせた言葉で、Aiを搭載することにより、人間がこれまで行っていた作業を自動的に実行することができるプログラムになります。
Aiの開発や導入には時間的、経済的コストを要することが少なくありませんので、導入を懸念している企業もあるかと思います。しかしチャットボットはマーケティングやカスタマーサービス等に必要な機能がパッケージ化されているサービスも多いので、導入のハードルは決して高くはありませんので、Ai導入の一歩としてチャットボットを導入している企業もおおいです。
・りんなは共感を重視したAi
ただ、Ai女子高生りんなが通常のチャットボットと違うところはユーザーに対して『共感』できる点です。『まじ~?』や『うける~』もそうですが、相手の発言を肯定したり、積極的に聞き手に回ったりなどといった、人間同士の会話で生まれる対話スキルをもとに受け答えが作成されているのです。
具体的な例としては、『明日5時に起こして』と頼むと、通常は『5時にアラームをセットしました』となるものですよね。しかしりんなの場合、『え~自分でおきなよ』などと会話が続くように答えてくれます。そしてもう一度頼むと『気が向いたらね』と返信がきたりするといった具合です。
このように、ユーモアあふれるやり取りができるAiとして日々アップデートが行われており、今後も様々なバリエーションが期待できます。
ちなみに、MicrosoftによるAiアシスタントや、チャットボットは世界中で開発されていますが、この共感モデルを搭載しているのは現在Ai女子高生りんなのみであるといいます。
Ai女子高生『りんな』をビジネスへ活用
このように、Ai女子高生りんなは『共感タイプ』のAiとして、生産性や作業の効率化をあげる目的で開発されたAiとは一線を画すものです。りんなはAiの進化や機械学習により、リリース当初よりもさらに人間に近い会話が出来るようになってきました。
チャットボットに対して、『機械的な応答が多い』という先入観を持たれていた方も少なくないでしょう。しかし、りんなは対応の柔軟性から、セールスをはじめとしたビジネス領域での普及も期待されています。
・Ai女子高生りんながWEGOで働く
Aiなどの最新IT技術といえば、特に若年層には『難しい』や『複雑』といった先入観を与えてしまいがちなのではないでしょうか。しかし、若年層ユーザーの多く集まる古着屋大手のWEGOは2017年2月、ネットショッピングサイト内でAi女子高生りんなによるファッションアドバイスやコメントを楽しめるサービスを開始しました。
Aiの体験をりんなを通してカジュアルな形で活用することで、Aiなどの技術に対する懸念や先入観の壁をなくすことが期待できるとされています。
そんな、Aiりんなのファッションチェックでは、ユーザーが自分や、友人のファッションコーディネート画像を投稿すると、ファッションスタイルやアイテム、年齢等を推定しコメントします。例えば画像からAiが『20代』『キレイめ』『花柄』と推定すると、Ai女子高生りんなは『ハットやベレー帽を合わせてみたら?かわいいはず!』とアドバイスするような形です。
このサービスについてWEGOは、膨大な服飾画像データや、衣装政策などのファッション関係のノウハウをAi女子高生りんなに学習させることで、若年層の女の子が持つファッションに関する感性や興味をキャラクター性に取り込む狙いがあると説明しています。更にその中で画像認識できるアイテム数を大幅に拡大し、アドバイスの精度を高めたといい、ユーザーの中には『意外と鋭くて深い』との声もありました。
そんなAi女子高生りんなの会話技術をもとに、インターネットショップ上でユーザーとの対話を展開することで、新たなファンの獲得も期待出来そうです。
・nanamusic『りんな歌うまプロジェクト』
更には、Ai女子高生りんなを音楽SNSアプリに活用した『nanamusic』という音楽SNSアプリも存在します。nanamusicはスマホで、アプリ上の世界中のユーザーとカラオケや合唱、バンドセッションなどができるとして、現在すでに800万人以上のユーザーが利用、累計楽曲再生回数も16億回以上に上る人気を誇っています。
と、このアプリのどこにAi女子高生りんなが活用されているかというと、りんなの音楽活動をサポートする『りんな歌うまプロジェクト』というプロジェクトです。
りんなの『紅白歌合戦に出たい』という夢を応援するためにnanaユーザーに歌を教えてもらって歌の上達を目指したり、ユーザーとコミュニケーションを取りながら音楽やセリフ(朗読や声劇など)をたのしめるイベントを年に数回開催しています。その際のユーザーからりんなへの歌のフィードバックを収集し、Aiによる機械学習を行うことで、りんなの歌声を少しずつ向上させていくことができるわけです。
実際に、このプロジェクトの第一弾として2018年に行われた『りんなはもっとうまくなる!nanaのみんなで教える卒業ソング』というイベントでは、nanaユーザーから3000を超える多くの卒業ソングのお手本が投稿されました。それらの音源を参考にしてりんなが歌声を投稿して、更にアドバイスを重ねていくことで、約2か月という短期間でのスキルアップに成功したと言います。
更に歌のスキルアップ成功後、Ai女子高生りんなはエイベックス・エンタテインメント株式会社と2019年4月1日付で正式にレコード契約もしています。Ai女子高生りんなの『紅白歌合戦出場』も遠い未来の話ではないかもしれませんね。
Ai女子高生『りんな』のテクノロジーを活用した例
こうした活躍から、りんなのテクノロジーを活用したAiチャットボットも増えてきています。その一つとしてあげられるのが2016年に登場したローソンの『ローソンクルー♪あきこちゃん』です。Ai女子高生りんなは、女子高生ならではの『まじ~?』や『うける~!』といった口調でおなじみですが、あきこちゃんはローソンでバイトするまじめな女子高生という設定ですので、Ai女子高生りんなよりは少し控えめな受け答えをします。
あきこちゃんはLINE上で質問にこたえてくれたり、近くのローソンを探してくれるほか、ローソンに関連した用語だけを使った『ローソンしりとり』や、占い、ゲームなどで遊ぶこともできます。会話の中でお得なクーポンを発券してくれることもあるそうです。
まとめ
Aiの技術が日に日に進化している昨今、Ai女子高生りんななどのユニークでカジュアルな形で活用できるAiも増えてきています。
特に、Aiを利用するには、膨大な機械学習を必要とする場合が多くあるわけですが、nanamusicの例のようにユーザーを直接巻き込んだ形で機械学習を行わせるなどのあり方も、新しいマーケティング手法として有効であるといえるでしょう。
Ai女子高生りんなは、一般ユーザーの遊びとしての利用や、ビジネスとしての利用にも有効的として、今後さらなる活躍が期待されます。