【医療分野×Ai】がんの早期発見にも活躍するAi

スマートフォンに搭載されている音声認識機能や、お掃除ロボットに内臓されている自走技術など、近ごろではさまざまな業界分野におけるAiの技術導入が進められるようになりました。

Aiテクノロジーの技術流用が積極的となった昨今、近ごろではAiのもつ学習機能が医療におけるがんの早期発見などにも役立てられていると言います。

今回は、医療分野におけるAiの活用事例や、Aiが先端医療に果たすべき具体的な役割などについて解説を進めていきたいと思います。

医療分野の現状と課題点について

日本国内においては、昨今急激に加速する高齢化社会に反して、医療に従事する現場スタッフの人員不足から、医療そのものに対する需要と供給のバランスが崩れつつあるという、深刻な現状にあります。

医療設備や人手が充実しているような一部の医療機関にいたっては必ずしもその限りではありません。しかし特に高齢者を多く抱える地方医療においては、数人のスタッフだけで膨大な数の患者を相手にしなければならない場合も多くあります。

近ごろでは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、現場施設における「オーバーシュート」や「医療崩壊」といった問題が囁かれるようになりましたが、医療需要の増加による労働環境の悪化などは、医療従事者の不足を招いている主たる要因とも言えるでしょう。

医療分野でのAiの活用例

ここからは、医療分野における具体的なAi活用事例をご紹介いたします。

画像診断でのAi活用

レントゲンや内視鏡、心電図などといった医療画像へのAi利用は、医療分野におけるAi活用の最たる例と言えるでしょう。

近ごろでは、医療技術の発達と高齢化の加速によって、医療施設における画像を用いた診断シーンは日々増加の一途をたどっていますが、それに対する読影可能な医師の数は決して十分なものとは言えません。

Aiを活用することで、現場施設における医療画像の読影を自動化させることができるようになるため、施設の人員不足の解消や、現場スタッフの業務負荷の軽減に対しても大きな力を発揮することでしょう。

疾患診断でのAi活用

Aiによる文字認識の精度が向上したことによって、近ごろではAiを活用した診療カルテの解析も一般的な手法となりつつあります。

診療カルテの分析にAiを活用することで、現場医師にかかる業務負荷の軽減や、医療施設全体における業務効率の改善などを期待できることに加え、人手が不足しがちな地方における医療水準の向上などにも役立てることができます。

医療分野が抱える諸問題解決策としてのAi活用

上記の事例のように、Aiを活用することによって、医療現場における人員不足の問題や、都市部と地方における医療格差の問題などを解決させることができるため、近年では医療現場へのAi活用が注目を集めるようになりました。

また、日本全国の診療データをひとつのAiシステムに統合し、それらを体系的に学習させることができれば、見落とされがちな難病症状の早期発見や、専門医の診断を必要とするようなシーンにおいても、平等で質の高い医療の提供が実現できるかもしれません。

医療分野でAiを活用するメリット

上記でも述べてきたように、現場での「人員不足の解消」と「業務効率の改善」は、医療分野におけるAi活用の最も大きなメリットと言えるでしょう。

これは医療の分野に限ったことではありませんが、Aiシステムを有効に活用することができれば、さまざまな既存業務のオートメーション(自動化)や業務効率の改善を実現することができます。

従来までのAi技術では、その学習能力の低さから、ライン作業などの定型的かつ限定的な作業でしか利用できない傾向にありました。しかし近ごろではディープラーニング(深層学習)技術の発達により、より柔軟で応用力を必要とするタスクの実行が可能とななっています。

医療分野でAiを活用するデメリット

拡大を続けている医療分野でのAi活用ですが、あまりに急速な技術革新から、医療を取り巻くAi活用の是非についての議論や、必要不可欠な法整備などの面においては、まだまだ十分とは言えない現状にあります。

実際のところ、法整備の遅延から、医療Aiが示した診断結果の取り扱いに難儀している医療現場も多いと言えます。、仮にAiを導入したとしても、医師の確認を必要とする場合がほとんどであるため、現状の段階においては、医療Aiによる完全なオートメーションの実現は難しいと言わざるを得ません。

特に、人命に関わる医療現場でのAi活用においては、Aiが引き起こした医療ミスによる責任の所在の問題や、Aiによるトリアージ(症状の度合いに応じて治療の優先順位を決定する選別行為のこと)の問題などが生じてしまう可能性があります。

ほかの業界分野以上に、医療現場でのAi導入に関しては慎重な議論が交わされる必要があるでしょう。

まとめ

医療分野にAiを活用することによって、既存業務の自動化や医療現場における労働環境の改善などの効果を期待することができます。

しかし、Aiの運用ルールや医療におけるAi利用の法整備などが進んでいないこともあり、実用的なAi医療機器は、現時点ではほとんど存在していないこともまた事実です。

医療現場でのAi導入に関しては、ほかの業界分野以上により慎重な議論が交わされる必要があるでしょう。しかし新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、医療を取り巻く現状は余談を許さない状況となりつつあるため、一日も早いAiの現場導入が求められています。