『Ai運行バス』で運行の効率化も。バス業界はすでにAiで便利化進行中?

Aiを積極的に導入している業界の一つとして観光業界があげられます。というのも今年2020年は東京オリンピックが開催されることもあり、政府は訪日外国人旅行者数4000万人を目標としており、観光業を国の重要産業として位置づけバックアップしているからです。
そのような理由から、観光業界にはAiに多額の投資をする力があり、Aiを活用することによって更に日本の観光業を盛り上げることができると予想されています。
多様化する観光客のニーズにAiはどのように対応するのでしょうか。今回は観光バスや路線バスを中心に観光業におけるAiの活用事例を紹介していきます。
目次
バスにAiが搭載された『Ai運行バス』とは
Ai運行バスは、NTTドコモがインターネット関連企業のDeNAや日産自動車とともに開発したバス運行サービスです。
Ai運行バスへの乗車を希望するお客は、まず自身のスマホに専用アプリをダウンロードし希望の乗降地点を登録するとAi運行バスの予約が完了するというシステムになります。乗客は、乗車中もアプリでバスが現在どこを走っているか、また、待っている際にもどこにいるのかということを把握することができるのでストレスが軽減されると期待されています。
更にAi運行バスは、Aiにルートを作らせています。というのも、AiがAi運行バスの走行状況や乗客から届く乗降希望などを勘案し、需要を計算することで最適な時間と最適なルートを分析し運転手に指示することができるからです。
ただ、観光地の規模や該当する地域の規模によっては観光客を乗せるバスも市民が使う路線バスも空席がでることは珍しいことではありません。そこで、観光バスと路線バスを共用することができれば効率的なコストダウンを実現することができるといえます。
しかしそうはいっても、観光バスと路線バスでは、ニーズや行き先が異なる場合が多いですので、『運行表』を人間が作ることは到底できません。そういった作業もAiの機械学習機能を利用することで、観光地までの道路交通情報や、過去の路線バスおよび観光バスの運行表などを元に、最適な運行表を作ることができるようになります。
Ai運行バスによる配車の仕組み
観光バスをはじめとした通常のバスサービスとAiを搭載したバスサービスの違いは、利用者の予約状況によってバス運行が決まる点にあります。通常のバスの場合、バスの乗客が停留所に不在かどうかにかかわらず、すべての停留所を経由します。これは路線バスでも同じです。ですが、先ほどご紹介したAiバス専用のアプリを通して乗客が乗車予約を行うことで、Aiシステムは集められたデータをもとに最短且つ効率の良い配車を算出できるようになります。
九州大学では一足先に導入
九州大学では2019年4月からこのAi運行バスの実証実験がおこなわれました。九州大学は2018年に都心部にあった3つのキャンパスを伊都キャンパスへと移転させ、その敷地面積は東京ドーム58個分にも及ぶといわれています。そのためキャンパス内には車道や交差点、信号機などが設置されており37バス停が設置されていますがバスの時刻表は一切ありません。
それは、Ai運行バスのシステムがバス停に到着する時刻や運行台数を自動的に決定しているからです。
従来の九州大学では、運行効率が4%程度でありましたが、Ai運行バスに置き換えたことで、運行効率は19%までに改善したのだといいます。
ちなみにNTTドコモが提供するAi運行バスの初期費用は50万円、月額利用料は18万円からで利用でき、2020年度末までに100エリアでの展開を目指しているそうです。
Ai運行バスが観光業界に与える影響とは
アメリカの観光業などではすでにAiを搭載したカーシェアなどが実用化されてきていますが、Ai運行バスを観光業において利用することにはどのようなメリットがあり、逆にどのようなデメリットが考えられるのでしょうか。
観光業界から見たAi運行バスのメリット
Ai運行バスのメリットは、運行効率が向上されることです。特に、観光地でありながらそこで普段の生活を送っている方もいるという地域もあります。そういった地域においては観光バスと路線バスを一体化することで大幅なコストダウンと、運行効率をあげることができるようになります。
また、乗客がすくない場合にはバスの本数を減らしたり、混雑している場合には増やしたりすることも可能です。更には目的の停留所までの最短経路をAiが算出することで移動時間の短縮にもつながり、観光客は限られた時間を有効的に使って利用することができます。
乗客だけでなく、運転手の立場から見れば、近年長時間労働が問題視されている状況です。特に夜行バスなどは夜間の運転および、長時間の運転が課せられる過酷な労働でもあります。あるバス会社では運転手の状況をAiカメラが監視し、異常を感知したら事務員に知らせることができるシステムを導入しています。これにより、高速バスなど長距離移動をするバスでの居眠り事故の発生を防ぐことが期待できるとされています。
観光業界から見たAi運行バスのデメリット
一方観光業界から見たAi運行バスのデメリットとしては、乗客が必ずしもアプリをダウンロードしなければならない点と、乗客の予約とシステムへの反映に遅れが生じる場合があるという点です。仮にバス停留所に乗客が待っていたとしても、Aiの判断でその場所がスルーされた場合、クレームにつながってしまうリスクがあることも否めません。
更に、先ほどもご紹介しましたが、Ai運行バスの利用には初期費用と合わせて月額費用も発生します。観光客の少ないシーズンは利用料に見合わないというデメリットが発生する可能性もあります。
まとめ
Ai運行バスのように、自動車にAiを活用し効率化を図る計画が世界で進行していっています。それは先日ご紹介したタクシーの例も同じです。乗客の需要や交通状況によって刻一刻と現状が変化する、観光バスや路線バスにおいて、Aiの活用は必須であるといっても過言ではありません。
特に、観光客が観光地に滞在できる時間は限られています。Ai運行バスはこれまで以上に効率的な運行をすることが期待できますので、観光客の満足度の向上も図ることができるでしょう。今夏開催予定の東京オリンピックでは多くの外国人観光客が一点に集中する可能性もありますので、観光バスや路線バスにおけるAiでの効率化は、はおもてなしの一部であるともいえるのではないでしょうか。