【Ai教習システム】高齢者の自主返納検討に新たな選択肢広がる

2019年の東京・池袋で起きた高齢ドライバーによる事故をはじめ、多くの高齢者が自ら運転免許の取り消しを申請する自主返納が行われており、高齢ドライバーを抱える家庭内でも「加害者にさせたくない」という思いで、両親を説得し自主返納するよう促すなど社会現象ともなりました。

しかし、実際にはそう簡単な問題ではなく、そこに至るまでには様々な問題も起きていることは確かです。はたして高齢ドライバーは、自主返納するほかに選択肢はないのでしょうか?

そこで、本記事ではそうした思いを抱える高齢ドライバーに新たな選択肢が広がる「Ai教習システム」や「サポカー限定免許」、さらに今後廃止されるガソリン車についても併せて言及して参ります。

高齢ドライバーを取り巻く現状と対策

まずは現状を把握するため、高齢ドライバーの人数や交通事故件数、および自主返納件数をみていき、平成29年に改正された道路交通法などについても改めておさらいしていきます。

・高齢ドライバーの現状

内閣府の2020年度版「交通安全白書」によると、2019年の運転免許保有者のうち70歳以上が1,195万人、全体の14.5%を占めています。

一方で、警視庁交通総務課統計による2019年度の交通事故発生件数は、全体で3,047件、このうち高齢ドライバーによる交通事故は5,524件と、全体の18.1%を占めています。

こうした高齢ドライバーによる事故があとをたたず、国民の間でも自主返納の動きが活発化している状況です。そして、実際の返納件数はというと、2019年の申請による運転免許の取り消しは全体で約60万件、その内75歳以上が58.3%に達しました。

・高齢者の運転に対する現在の対策

まずは、下記の道路交通法をご覧ください。

引用元:leaflet_A.pdf (npa.go.jp)

上記の道路交通法改正に伴い、以下3点が変更になりました。

・3年に1度免許証の更新時に受けていた認知機能検査が、違反行為があればその度 認知機能検査を受ける必要がある

・改正前と異なり、認知症の疑いがあるとされた方は、違反の有無に限らず認知  症検査を受ける必要がある

・認知機能検査の結果によって受ける講習の内容が変わり、75歳未満の方や、認知 機能検査で認知機能低下の恐れがないと判断された方に対しては2時間に合理化(短縮)されます。その他の方に対しては、個別指導を含む3時間の講習となる

 

高齢期における視覚・運動・認知機能低下は、運転中の技能低下を招く危険性が高く、現在では70歳以上で高齢者講習が義務付けられており、さらに75歳以上では認知機能検査が運転免許証更新時に義務付けられています。

・高齢ドライバーの自主返納後のリスク

日々テレビなどで取り沙汰される高齢ドライバーによる事故を前に、返納を見極める家族の説得も必要になってくる中、返納後のリスクにも備えておかなければなりません。

というのも、国立長寿医療研修センターの調査によると、運転をやめた高齢者は運転を継続した高齢者に比べ、要介護状態のリスクが約8倍上昇したという報告が出ています。また、脳神経外科医によると「それまでに車の運転で使っていた脳内のネットワークを急に使わなくなると、脳が委縮して白質病変が増加し、認知症などのリスク・その他鬱になる高齢者も少なくない」というのです。

中には、車がなくなってしまうと生活に大きな支障が出てしまう方もいるでしょう。

 

そうした次なる課題に導入されたのが「Aiによる教習システム」や「サポカー免許取得」です。その二つについて、次項で詳しく解説していきます。

Aiが高齢ドライバーをサポート

2021年の冬から高齢者が安心できる運転を目指し、福岡県の自動車教習所では「Ai

教習システム」を導入します。高齢ドライバーによる危険運転への関心が高まっている中、一方で高齢者の暮らしを守るためAiはどのような活躍をみせるのでしょう。

・「Ai教習システム」とは?

「Ai教習システム」とは、高齢ドライバーが安全に運転をし続けられるようにAiが的確な支持を出しサポートをするものです。

例えば、教習所での練習中に「右後輪が脱輪しそうです。左にハンドルを回しましょう」などと、あらかじめAiが危険を察知すると音声にてどうするべきかを指示し、危険を回避します。

 

この危険を回避する仕組みですが、3次元レーザーレーダーが周囲の環境情報を収集・内蔵する地図と照らし合わせることで、自動車の位置をリアルタイムに推定後、運転手に明確な指示が出せるというわけです。さらに、同時に車内カメラで撮影した運転者の顔の向きをAiが解析し、周囲の状況を目視できているかどうか確認、その記録したデータを採点結果として実車試験合否に使用します。

自動運転 | Aiチョイス (ai-choice.jp)

・Ai搭載車「サポカー限定免許」

「サポカー限定免許」とは、2022年にも新設される自動ブレーキ機能などを備えた安全運転サポート車(サポカー)に限定した免許で、いわゆる免許返納までの中間的な位置づけとして導入されたものです。

サポカーには、

・Aiによる衝突被害軽減ブレーキが”止まる”をサポート

・Aiで踏み間違い時の”急発進抑制”などをサポート

・Aiの車線逸脱警報で”はみ出さない”をサポート

・Aiによる自動切替型先進ライトで危険を早期発見

以上4つをサポートするシステムが導入されており、このサポカーに乗るための免許取得になります。運転できる対象車両をサポカーに限定することで、免許の自主返納を検討する高齢ドライバーなどに新たな選択肢が広がるというわけです。

 

しかし、これらの先進安全技術はあくまでも安全運転の支援であり、機能には限界があるため必ずしも絶対に安心というものではありません。機能を過信せず引き続き安全運転を心がけるよう、気を付けていく必要はあります。

3.「Ai教習システム」のメリット

「Ai教習システム」には次のようなメリットがあり、実際に高齢ドライバーによる声も上げていますので参考にご覧ください。

 

・Aiによる客観的なデータに基づいた正確な評価を下すことができる

・Aiによる客観的な評価で周囲への説得材料になる

・Ai教官が人手不足に役立つ

 

人間による採点は時にはばらつきがあると感じてしまったり、納得のいかない評価もあるかもしれません。しかし、Aiによる評価の場合、採点がコンピュータであるということから、皆同じ条件のもと判断されることで周囲への説得材料にもなるとの声も上がっています。

 

現在のところ、道路交通法では資格を持つ教官が同乗することが義務付けられていますが、教官の人手不足が深刻化する前に教官が同乗しないAi教官だけで走行が行えるよう、改正法の可能を呼びかけるとしています。

 

このように車社会の現状が大きく変わっていく中、2030年半ばには国内のガソリン車が廃止されることも決まりました。目まぐるしく変化する中、今後はどのような車が燃料として活用されていくのでしょう。最後にガソリン車廃止の内容や、今後普及が加速するAiが導入された電動自動車について簡単に解説していきます。

4.2030年半ばには国内のガソリン車が廃止?

政府が進める「2050年カーボンニュートラル」の一環として、2030年半ばにはガソリン車を廃止するという新たな政策が掲げられました。

・ガソリン車が今後廃止される理由

「2050年カーボンニュートラル」とは、2050年までに温室効果ガス排出ゼロを目指すもので、車のガソリンも2030年半ばを目途にゼロにしていこうとするものです。この動きは日本のみならず世界でも同じように廃止していくものとし、日本では新車販売を電動自動車に切り替え後、電気自動車・水素で走る燃料電池車・ガソリンと電気の両方を使うハイブリット車にシフトしていく方針です。

・Ai導入の電動自動車普及の加速

2030年半ばにはガソリン車が廃止していくことで、Aiを導入した電動自動車も普及の加速を辿ることになります。

現在では自動運転レベル3(条件付き運転自動化)が解禁となりました。さらに国やメーカーによっても違いはあるものの、2025年前後には高速道路においてレベル4(高速運転自動化)の実用化を目指し、レベル5(完全運転自動化)についても高速道路の一定の条件下では2030年までに実現されるとされるのではないか、と言われています。

「脱ガソリン車」「Aiを導入した電動自動車普及の加速」と、いづれにしても自動車業界がこれまでにない大転換期を迎えていることには間違いありません。

自動運転におけるAi技術を競う『自動運転Aiチャレンジ』から見るAiのメリット

 

まとめ

「Ai教習システム」や「サポカー限定免許」、さらに今後廃止されるガソリン車に伴うAiを導入した電動自動車の普及について言及して参りました。

誰しもがいずれくる運転への不安ですが、新設される「サポカー限定免許」によって選択肢の枠が増えたことは、高齢ドライバーが社会との繋がりを持ち続ける大きな役割を果たすことへ繋がるのではないでしょうか。

そしていま、自動車業界においてはこれまでにない大転換期を迎えようとしています。今のうちに様々な情報を把握し、近未来に備えておくと良いかもしれません。

Aiチョイスでは、Aiに関する情報を発信しております。気になる情報などありましたら、ぜひ参考にご覧ください。