Ai活用で再配達問題もゼロに!?宅配業界で活躍できるAi

近年、人間の仕事の効率化を図ることができるとして、様々な業界で注目されているAi技術ですが、宅配業界にAiを導入することで、再配達を激減させることができるようになるようです。

また、再配達問題を解消するとして注目されている『宅配ボックス』も非対面での受け取りが可能になるとして、コロナウイルス感染対策としても利用が広がっています。

そんな宅配においてAiを導入すると、さらに再配達問題を削減することができるのでしょうか。本記事では、宅配業界で活用できるAiについて解説してまいります。

再配達問題の現状

国土交通省のサンプル調査によると、2019年4月の大手宅配業者3社の宅配便に占める再配達の割合は、前年同月比1ポイント増の16.0%となり、特に都市部では18.0%(前年同月は16.4%)となり、12.4%(同12.6%)だった地方と比べて高いという現状が明らかになりました。

2019年4月 2018年4月
総数 再配達数 再配達率(%) 総数 再配達数 再配達率(%)
都市部 844396 151603 18.0 812984 132979 16.4
都市近郊 1378262 209590 15.2 1346059 192796 14.3
地方 129731 16077 12.4 116576 14721 12.6
総計 2352389 377270 16.0 2275619 340496 15.0

近年では宅配ボックスの設置された分譲マンションも多く、賃貸物件などでも後付けする自宅が多い中、非常に高い確率で再配達となっています。

中には、一度の再配達で終わらないという受取人もいるわけで、1人の人が1つの荷物で何度も再配達を行ってしまうということもあります。そうして、宅配業者の業務を圧迫してしまうことから、この『再配達問題』はもはや社会問題として扱われるようになってきているのです。

特に、Amazonでは2018年から再配達問題を解決するため、宅配ボックス等がなくても玄関などの指定した場所への配達をお願いできる『置き配』というサービスを開始しており、それを利用している方も多いようです。しかしこの『置き配』は宅配ボックスなどがなくても利用できることから、当然生身の状態で荷物を置きっぱなしにしてしまうわけで、中には盗難に巻き込まれるケースもあります。

そのようなことから、宅配業界は宅配における様々な問題を抱えているといえるのです。

IoT宅配ボックスへのAi搭載について

宅配業者の諸問題を解決するものとして注目されているのが『IoT宅配ボックス』です。IoT宅配ボックスというのはその名の通り、インターネットとつながった宅配ボックスのことで、受取人はスマホなどと連動させて外出先からでも宅配状況を確認することができます。

そして、このIoT宅配ボックスにAiが搭載されると、例えば、下記のようなことが可能になります。

①顔認証ロックができる

②不審な人物を見かけたらアラートを流すことができる

③Aiで荷物の中身等を把握することができる

基本的にIoT宅配ボックスへ利用できるAi技術は『画像認識技術』が主で、顔認証ロックが可能になったり、宅配ボックスを開けようとする不審な人物を検知したら、スマホにアラートを流したりすることができるようになります。また、届いた荷物の中身を伝票などの文字情報から読み取り、スマホに通知させることも可能になるでしょう。

そうすることで、宅配業者としては、宅配ボックス設置による再配達問題解消はもとより、不在時の荷物受け取りによる盗難などのトラブルを防ぐことができるようになります。

Aiドローンについて

こちらは以前のコラムでも掲載いたしましたが、Aiドローンを活用することで無人での宅配ができるようになります。

Aiを搭載したドローンが物流を変える!再配達問題も過去のもの?

Aiを搭載することで、Aiセンサーによって安全性を考慮すると同時に、着陸前に着陸場所付近に人や動物などの障害物がないかどうかも判断することができます。将来的にはスマホと連動させながら自宅にいるかいないかなどの判断や、希望時間等をドローン自身が受け、宅配業者のように働くことができるようになるかもしれません。

希望時間等をドローンが受け、勝手に配達を行うことができるようになれば、宅配業界の再配達問題も解消することが可能になります。

ただ、現状は法律の規制などにより完全自動での配送が行える場所は限られていますが、Aiドローンが普及し、将来的に規制緩和が行われればドローンによる自動配送が可能になり、物流における人手不足の解消が期待できるでしょう。

Aiによる宅配業者への最短ルート開示

更に、宅配のためのトラックにあらかじめAiを搭載したナビなどを入れておくことで、どの場所から配達すれば効率的に宅配が行えるというのを自動計算してくれることができるようになります。

・人材不足問題も解決

また、Aiが最短ルート、効率的なルートを開示してくれることで、1人のドライバーが多くの荷物を届けることができるようになれば、人材不足問題も解決することができるようになるかもしれません。

宅配業界は、『再配達問題』はもとより『労働時間が長い』というイメージから、若者に避けられがちな業種でもあります。しかし、Aiによる業務効率化により、時間外労働や、再配達などの諸問題を解決することができれば、徐々に『働きたい』と思える若者が増えてくる可能性ももちろんあります。

タクシー業界はAiのルート算出で効率化

これは実際にタクシー業界で活用されているAi技術でもあります。どのようなルートを通れば混雑を回避できて回転率があげられるのかということを瞬時に計算できるAiを搭載することで、新人とベテランドライバーの売り上げの差がほぼなくなり、タクシー業界の売り上げ増加に貢献しました。

Aiによる需要予測でタクシー業界が売り上げ増加!Aiでタクシー業界もスマート化

まとめ

本記事では、宅配業界で活用できるAiについて、将来展望についても少し触れながら解説いたしました。Ai[を搭載したドローンについては、海外では少しずつ利用が始まってきています。日本では個人情報などの観点から許可をとるのに時間がかかりそうな模様ですが、今後それらが許可されたり、Aiによる最適なルート算出などが行えるようになれば、少しずつ宅配業界の諸問題も解決に近づくことでしょう。

もっとも、宅配業界に限らず多くの産業でAiを導入するときに言えることは、Aiと人間が協力して人間がAiをうまく活用していくことが大切であるということです。もし、今後ドローンでの宅配が許可されたとしても、当然ドローンで宅配することができる荷物の重量は決まっているので、そこは一定の重量を超えた荷物については今後も宅配業者による配達が必要になります。

Aiと人間がうまく協力することで、宅配業界における再配達問題などの諸問題も徐々に解決していくことでしょう。