Aiによるメリットとデメリットはいったい何?Ai超入門編!

最近はよくAI(人工知能)技術の進歩に伴い、ニュースなどでAIに関するニュースを聞く機会が増えました。ビジネスやエンターテイメント分野にAIを導入するケースが増えています。

日本は少子高齢化に伴う労働人口不足の減少により、2030年には約900万人の労働者が不足すると言われています。AIは労働人口不足を補い、業務効率化や生産性向上にも貢献できる技術として、注目を集めています。その一方で、AIに仕事を奪われるのではないかというような不安も指摘されているようですね。そこで今回は、AIに関する基本的な情報や、メリットやデメリットをお伝えしたいと思います。 

AIとは?

AIとは「Artificial Intelligence」の略で、日本では「人工知能」とも訳されています。一言でAI(人工知能)といっても、その定義や捉え方は人によって異なります。

専門家の間でもAIの定義は曖昧で、明確には定められていません。あえて言うのであれば、AIとは人間の思考プロセスと同じような形で動作するプログラム、または人間が知的と感じる情報処理・技術といった広い概念で理解されています。現在AIは以下のようなタイプに分類されています。

特化型AI

一つのことに特化したAIで、限定された課題に特化して自動的に学習・処理を行います。現在のAI関連の研究の大半は、この特化型AIの研究となっています。多くの人がAIと聞いて思い浮かべるのが、この特化型AIではないでしょうか。ビジネス領域で広く活用されており、主に以下のような事柄が行えます。

・画像認識

・音声認識

・自動運転技術

・自然言語処理

・囲碁・将棋AI

汎用型AI

汎用型AIはあらゆる多くの課題に対して処理可能なAIで、「AGI(Artificial General Intelligence)」と略されることもあります。特化型AIは一つのタスクに特化する代わりに、それ以外のタスクを行えません。

しかし汎用型AIは、まるで人間と同じように複数の課題に対して取り組むことが可能です。与えられた情報を元に水から思考し、応用できるAIです。現時点では汎用型AIの実現方法は明らかになっていませんが、完成した時にはシンギュラリティが起きるとも言われています。

またアメリカの哲学者ジョン・サールは、強いAIと弱いAIという分類も提唱しました。

強いAI

人間のような自意識と思考力を備え、認知能力を必要とする作業も実行できるAI。正しい入力と出力機能を持ち、適切なプログラムにより、あらゆる問題を本当の意味で理解することが可能です。

弱いAI

意識・思考を持たないAI。特化型AIと同様に、人間の知性の一部のみを代替して特定のタスクのみを処理します。特定のタスクに適したAIで、現在開発されているAI技術はこちらの弱いAIに分類されます。

AIのメリット

AIは実際にどのような活躍をしていて、どんな期待やメリットがあるのか見ていきましょう。

業務効率化

一つ目のメリットは、業務効率化です。AIはビジネスにおける、あらゆる単純作業を人間の代わりに実行できます。日常的に発生するルーティーン作業をAIに任せることで、業務効率化が実現できるでしょう。

たとえば医療現場では、CT・MRI画像などからAIが病状を診断することも期待されています。また教育現場では、テストの採点の自動化などにAIが役立つと言われています。細かい手間のかかる作業が減ることで業務効率化が図れると同時に、働き方改革も期待できるでしょう。

労働不足の解消

二つ目のメリットは、労働人口不足の解消です。少子高齢化が進む日本では、年々労働人口が減少しています。外国人労働者の受け入れなどで対応していますが、AIの活躍による課題解決も期待されているのをご存じでしょうか。

一部のコンビニでは店舗の無人化が進められており、今後はさらに増えていくと予想されています。また過酷な労働環境にある工事現場などにおいても、危険な業務をAIに任せることで人間へのリスクを軽減できるでしょう。

データの収集・分析・予測

三つ目のメリットは膨大なデータの収集・分析・予測にあります。AIはデータ収集や分析に長けています。遥かに人間を上回るAIの能力により、経営やマーケティングに活用できるでしょう。

市場調査や顧客のニーズを正確に把握したい時に、有効活用できます。顧客満足度をアップさせやすいので、ブランド力向上にも繋がるでしょう。

生産性の向上

四つ目のメリットは、生産性の向上です。人間が作業を行う場合、質を一定に保つことは簡単ではありません。個人ごとの経験やスキルにより、作業内容に差が開いてしまうことも多いからです。

またその日の体調に業務内容が影響されるケースもあるでしょう。AIなら日々の体調やモチベーションに業務内容が影響されることがありません。常に100%に近い正確性を持ち、一定の業務を遂行できます。ミスによるタイムロスも大幅にカットできるでしょう。

生活の質向上

五つ目のメリットは、生活の利便性が向上するという点です。現在AIは、iPhoneのSiriや変換予測などに使用されており、私たちも日常的に触れています。またamazonやYouTubeといったサービスにおいても活用が進み、おすすめ商品やおすすめ動画の提示などに役立てられています。AIを有効活用することによって、今まで以上に利便性が高まり、生活の質が向上していくでしょう。

AIのデメリット

AIには多くのメリットがありますが、以下のようなデメリットも懸念されています。 

責任の所在が不明

一つ目のデメリットは、責任の所在が分かりにくいという点です。たとえばAIの自動運転による自動車事故が発生した場合、責任はどこにあるのでしょうか。車に乗っていた人なのか、あるいは車を製造した会社や工場なのか、責任の所在が現時点の法律では正式に定められていません。今後明確な線引きが行われない限りは、AIを導入するリスクとして考えておきましょう。

思考プロセスが不明確

二つ目のデメリットは、AIの思考プロセスが見えにくいといった「ブラックボックス問題」です。人間が業務を遂行したりアイディアを出したりする場合には、同時に思考プロセスを確認することが可能です。しかしAIの場合は、どんな思考で最終的な行動・結論に至ったかというプロセスが明確ではありません。たとえば2016年には、AIが囲碁のプロ棋士に勝利したというニュースが有名になりましたが、AIの思考プロセスは分からないままでした。思考がブラックボックス化しやすいというのは、AIのデメリットと言えるでしょう。

情報漏洩リスク

三つ目のデメリットは情報漏洩のリスクです。AIを活用する場合には、ネットワークを利用して機密情報を取り扱うことになるでしょう。非常に便利な反面、外部からのハッキングや情報漏洩リスクを伴っています。情報漏洩を防ぐ為にもセキュリティの強化や、専門知識を持ったAI人材の常在といった対応が求められます。

リスクマネジメントの問題

四つ目のデメリットは、リスクマネジメントの問題です。万が一AIの管理にトラブルが発生した場合には、AIが関わっていたすべての業務が停止するリスクを伴っています。AIに多くの業務を担わせていた場合には、最悪会社そのものが昨日しなくなる可能性も考えられるでしょう。このような事態を防ぐ為にも、万が一AIにトラブルが発生した場合の対処法について、導入前から明確にしておいてください。

AIを利用するために必要なこと

ビジネスにおいてAIを利用する為に必要なプロセスは、主に以下の通りです。

①課題を把握してAIプロジェクトを企画する

②プロジェクトの要件を決定する

③データ収集、精査

④モデルを構築、検証、実証実験を行う

⑤本格的な開発をスタートする

⑥完成したAIをシステムに組み込む

2019年8月には、東京丸の内で日本経済新聞社が主催するイベント「Data Science Fes 2019」が開催されました。このイベントで行われた調査結果によると、47%のAIプロジェクトが「④段階」に当たる実証実験に進んでいないと判明しました。

また約四割の企業では、AI導入において課題が不明であり、それが失敗の原因になっているとも明らかになっています。AI導入を成功させる為には、企画の段階から課題を明確にして検討を行い、次のフェースに移行していく必要があります。「今はAIが流行しているから」「なんとなくメリットがありそうだから」というような曖昧な理由でAI導入を進めると、結果的に失敗するリスクが高いと言えるでしょう。

AI人材不足の懸念

AIの需要が高まる反面で、AI人材不足が懸念されています。経済産業省の発表によると、2020年で4.4万人、2025年には8.8万人、2030年には12.4万人のAI人材が不足すると予測されています。優れたAI人材は外部からの採用も大切ですが、社内におけるAI人材育成の重要性も今後はさらに高まっていくでしょう。主だったAI人材は、以下のようなカテゴリに分類されます。

AIを進歩させる人材

こちらはAI研究者などが該当します。最先端のAI技術を研究して開発することが主な役割です。

AIを具現化する人材

こちらはAIエンジニアやデータサイエンティストが該当します。数理学と統計学に長け、AIモデルを開発することがデータサイエンティストの役割です。一方AIエンジニアは、開発したAIを現場環境に合わせて実装する役割を担います。

AIを活用する人材

こちらはAIコンサルタントやプランナーが該当します。AIの知見を持ち、課題整理や現場と開発側を繋ぐのがAIコンサルタントの役割です。プランナーはAIエンジニアやプロジェクトメンバーと打ち合わせをして、課題に対するAIによる解決策を導き出します。

まとめ

今回はAIの基礎知識や、メリット・デメリットについてお伝えしました。

すでにAIはさまざまな業界、分野で活躍しています。今後はさらに研究が進むと予想され、IoT技術の普及に伴って幅広く利用されていくでしょう。AIを導入することで業務効率化、生産性向上、労働人口不足の解消、生活の質向上といったメリットが期待されています。一方でリスクマネジメントの問題や、明確な線引きがないだけにトラブル発生時の対応などが懸念されています。またAIをビジネス現場に導入する際には、課題を明確にした上で対応できる人材を育成する必要もあります。

まだまだ課題もありますが、AIが発達していくことで、世の中はどんどん便利になっていくでしょう。今回紹介したポイントを踏まえて、AIの導入・利用を進めてみてはいかがでしょうか。