Aiによる需要予測でタクシー業界が売り上げ増加!Aiでタクシー業界もスマート化

様々な産業においてAiを活用することによる『働き方改革』や『スマート化』が行われておりますが、それはタクシー業界も例外ではありません。というのも、Aiを『タクシーの需要予測』に利用するというもので、予測する場所ごとの乗客数に応じてタクシーが移動することでタクシーに関する需給バランスが改善される見通しです。

これにより、タクシーの業務効率が改善され、少子高齢化によるドライバー不足を補うという効果も期待されています。

今回は、タクシーの業務にAiを用いた場合の効果や、今後タクシー業界にAiの活用が広がっていくと、お客側、運営側にそれぞれどのようなメリットがあるのかというところについてご説明していきたいと思います。

Aiの需要予測でタクシーの売り上げ20.4%増

トヨタ自動車、JapanTaxi、KDDI、アクセンチュアの4社は、2018年3月9日、Aiを活用して予測したタクシー需要をドライバーに配信する『配車システム』を開発し、同年2月から東京都内で試験導入を開始したと発表しました。ほかにも2018年7月にはNTTドコモが東京無線協同組合や富士通などと共同で『乗車台数予測システム』を開発するなど、タクシーへのAi導入が盛り上がってきているところです。

特に前者の『配車システム』の試験導入では、JapanTaxiの関係会社である日本交通のタクシー数台に導入し、実環境での有効性を検証すると、同システムを利用したドライバーの1か月の売り上げは1日当たり前月比20.4%+となったといいます。

ここでは上記のようにAiシステムを導入したタクシー、『Aiタクシー』の効果などについて詳しく触れていきたいと思います。

Aiタクシーにできること

Aiタクシーは前述のように、エリアや気象状況、曜日、時間帯、イベントの有無などによって今後30分間のタクシー需要をリアルタイムで予測するという機能を持つタクシーです。

主には、運転手に専用のタブレット端末を配布し、予測に応じたスムーズな配車を行います。また営業成績のよいドライバーの知見に基づいた『乗客を見つけやすい走行ルート』のデータを同タブレットに配信することで、利用者の待ち時間を短縮することができるだけではなく、配車の最適化に夜乗車率の向上も見込めるとされています。

Aiタクシーの効果

このように、タクシーにAiによる需要予測システムを導入することで売り上げ増を期待できたり、ベテランドライバーと新人ドライバーのスキルの差を縮めることが期待できるでしょう。

実際の実証試験のアンケート結果から効果を定量的に見ると、1日あたり1台2,000円程度の売り上げ向上が見込めるということであり、年換算にすると約28万円の売り上げ向上となることがわかります。

更に、Aiタクシーのメリットはドライバーのみにとどまらず、なかなかタクシーを捕まえることができずにあきらめていたり、不満を持っていた乗客に対する不満解消のきっかけになるともいえるでしょう。

実際の実証実験で従来よりも20.4%の売り上げ増を記録していることから、タクシーへのAiシステム導入は、タクシー業界の大きな改革ともなるといえるかもしれません。

Aiがビッグデータを処理。スマホから配車手配も

このような『Aiタクシー』を実現するに必要なAiの技術の一つとしてディープラーニングという深層学習技術があげられます。Aiタクシーの学習には、時間と場所の組み合わせで更に大量のデータが必要になりますが、それらを網羅するデータをタクシー会社が準備できないという場合も考えられます。そこで、Aiタクシーの開発ではデータを誇張したり、ノイズを除去しデータの特徴をニューラルネットワークで取り出す方法で学習させることで、実質的にデータの増量を行うことができるわけです。

それらのビッグデータを利活用することで、より高精度な乗車予測、配車支援を行うことができるようになります。

特に、タクシーアプリ『JapanTaxi』を展開するジャパンタクシーでは、タクシーから取得できるビッグデータを用いて移動の未来を創る部署と説明される『モビリティ研究開発部』が設立されました。同社のタクシー車載タブレットでは、通学中の子供を見守る活動や、Aiパイロットによる路面状況のリアルタイム確認、配車支援システムによる利用者の需要予測、ドライブレコーダー解析による道沿い情報の収集といった取り組みを行っています。

今後は、アプリと車載の需要予測システムが連動して、より効率的な配車をおこなうことができるようになるのではないでしょうか。

Ai活用によるタクシー業界の今後の可能性

現在、様々な企業や産業において『少子高齢化』による慢性的な人手不足が危惧されていますが、タクシー業界も同様に、就業平均年齢の高齢化と人手不足が進んでいるといわれています。特に、平成30年の時点でタクシードライバーの平均年齢は60.1歳であり、タクシー業界のベテランドライバーも高齢化していっていることから、スキルや経験が不足する若手をサポートし教育するチャンスはAiにかかっていると言っても過言ではないでしょう。

特に、労働時間の長いイメージのあるタクシー業界は体力のある方でないと続かないのではという不安から、転職や新社会人の就職先としての選択肢から外れてしまう場合も少なくありません。しかし、その改善策としてAiシステムを導入することにより、新人ドライバーでも、短時間でベテランドライバー並みの乗車回数を達成することができれば、労働時間の短縮も可能になります。

これにより、タクシー業界が他業種からの転職や就職先としての選択肢となり、人手不足の解消も期待できるというわけです。

 

更に今後は世の中の高齢化に伴い、移動手段としてのタクシーの需要はますます高まることが予想されます。特にこのご時世、高齢者の自動車事故が多発していることから、免許返納も推奨されていますよね。このような需要に対して供給が追いつくようにするためにもAiタクシーは重要となってくるでしょう。現在、東京無線ではAiタクシーの導入の割合としては全3774台の3割とされていますが将来的には全車への導入が予定されています。

また、JapanTaxiのようにアプリでタクシーを呼ぶことができる配車アプリと、Aiタクシーを組み合わせることで、一層需給バランスの改善がされることでしょう。すでにこれらの提携の取り組みは東京無線とJapanTaxi間で行われておりますので、今後はますます配車アプリのプロモーションを含めた乗客へのサービスが展開されていくのではないでしょうか。

まとめ

このように、タクシー業界にもAiが導入され、働き方改革、スマート化が図られています。Aiなどの最新テクノロジーは、これまでインターネットとあまり関係がなかった業界にも様々な恩恵を与えていくこととなりそうです。

従来、ベテランドライバーだけが持っていた土地勘や、経験に頼るしかなかったタクシー待ちの乗客予測をAi技術により、データのみから取り出した予測モデルを活用することで、経験に関係なく高精度なサービスが実現可能となってきています。このサービスが広まっていくと、人手不足や高齢化などの諸問題の解決が期待できるだけでなく、配車アプリとの組み合わせで、リアルタイムでのマッチングが可能になり、タクシーに対する潜在的ニーズを掘り起こすこともできるかもしれません。

雨の日も、イベント時も、乗客はスマホから予約するだけですぐに空車のタクシーが迎えに来てくれる、更にドライバーも需要のある場所への道案内もシステムが行ってくれることで効率的に配車を行える、Aiはそんなタクシー業界の未来を作り上げてくれそうです。